医療福祉で連携強化、8都県市首脳会議で合意、県境越えた患者搬送も
首都圏1都3県の知事と政令市長でつくる8都県市首脳会議が23日、東京都内で開かれ、医療福祉分野での連携強化で合意した。救急医療機関の情報システムや搬送システムの相互乗り入れで県境を越えた患者の搬送の円滑化などを検討する。救急医療や周産期医療から着手し、将来はコンソーシアム(連合体)の形成も視野に入れるとしている。
会議では、埼玉県の上田清司知事が「医療政策は都道府県単位だが、首都圏では患者の出入りが頻繁で、県境では他県の病院の方が近いというケースもある」と指摘。患者のたらい回しなどが問題となっている救急医療や周産期医療などから連携を強めるべきだと提案した。(中略)
東京都の石原慎太郎知事は「県境に近い都市は隣の(都県の)都市に行った方が早い。しっかりやろう」と賛同。神奈川県の松沢成文知事も「全面的に協力する。1都3県で連携した情報交換や患者搬送のシステムを作れば命を救える可能性も出てくる」と同調した。1都3県の事務レベルでは、医療整備を担当する課長間で今年1月と2月に検討会議を開き、「問題を共有しあっている段階」(埼玉県医療整備課)という。上田知事によると、1都3県の医師会も同様の問題意識を持っており、首脳間合意により具体的な検討を加速させたい考えだ。
(日本経済新聞 2009年4月24日付記事から)
地道な情報公開と共有が先決では
30年も前には、県境で実際に救急車を乗り換えて患者移送をしていた。患者を乗せた東京都のヘリコプターが、多摩川を越えることができなかったというようなことが実際にあった。現在、さすがにそのあたりは改善されて、県境を越えて救急車が往来できるようになってはいる。
しかし、いまや医療は県や都の単位で考える問題ではないことはわかりきっていること。このニュースで報じられた知事たちに対して、「いまさら何を」という感が否めない。救急医療だけでなく、医療行政が都道府県単位でかなりの制約を受けていることにも、問題があるのだろう。医療連携をしていくなら、日本全体の病院や医療施設の活用を考えていくべきだろう。