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Dr.田中が教える国試のツボ【眼科編(その2)】
第13回 過去問だけでなく成書でしっかり学ぶ

2010/06/16
Dr.田中

Dr.田中康一郎
東邦大学医学部卒。同大学院医学研究科(眼科学)で学位を取得。国家公務員共済連合会登戸病院眼科医長を経て、現在鹿嶋眼科クリニックに勤務。眼科専門医。平成23年春、東京都大田区で開業予定。

眼科の国試対策を、過去問から入るのは間違いではないと思いますが、「過去問がすべて」とは思わずにやることが大切です。特に、10年以上前の過去問には“変な問題”が多いので注意が必要です。また、ここ4~5年の過去問には、間違いの選択肢の1つとして出される疾病にも重要な疾病が入っています。ですから、過去問は選択肢も勉強の対象であると考えて、少しだけ幅を広げて勉強するつもりで、過去問にチャレンジした後で成書を読むのが良いでしょう。もちろん、時間に余裕のある人は、成書を読んでから過去問をやるのが良いでしょう。

古すぎる過去問を勉強すると重箱の隅をつつくような問題ばかりで不安になるかもしれません。しかし、この5年分くらいの過去問をメインに勉強すれば、国試の眼科は真っ当な問題が出題されていることが確認できるはずです。

国試の眼科の問題では、4~5問の新問が出題されます。そのうち3~4問は過去に出題されたことはあるが方向性を変えてある問題で、1~2問が大学の講義では全く習っていない問題です。こうした新問は毎年出題されるわけではありません。例えば、ドライアイは毎年のように出題されていますが、性感染症による眼科疾患は過去に1度しか出題されていません。実は、この眼科領域の性感染症は眼科医の間ではトピックスになっているテーマなので毎年出題されても不思議ではない問題ですが、なぜかまだ1度しか出題されていません。重要な疾患なのに出題されない理由は不明です。

眼科医の間では常識なのに、国家試験の非常識という問題もあります。例えば、「正常眼圧緑内障」という疾患です。かつては、10~21mmHgが正常眼圧で、この数値が高ければ緑内障という問題が出題されていました。しかし、実際の臨床現場では、眼圧の高い緑内障患者は正常眼圧の緑内障患者に比べて少ないのです。2000~2002年に岐阜県多治見市で実施された疫学調査から、眼圧が正常な緑内障患者の方が多いという緑内障の概念を根底から覆す「多治見スタディ」が発表されました。臨床では、眼圧が21mmHg以下の正常眼圧なのに緑内障になる「正常眼圧緑内障」の方が圧倒的に多いのです。

そろそろこの「正常眼圧緑内障」が出題されても良いはずなのに、国試では今のところ眼圧が高いのが緑内障というコンセンサスで出題されています。しかし、もはや眼科医の間では正常眼圧緑内障は常識になっているので、いずれ国試に出題されるはずです。

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