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第7回 “病態生理”を理解して丸暗記から卒業する

2009/12/22
Dr.孝志郎

“出題者の意図”が分かれば楽しく勉強できる


従来の国試では、リウマチに関して「関節が痛くなる病気」という観点だけで出題してきました。しかし、臨床医であれば関節の痛みに加えてもう1つのポイントを考えます。それが首の関節に障害が出てきて亜脱臼する場合で、命を落とすこともあるのです。

だから医師は、患者さんに首を激しく動かさないようにしてくださいと指導します。天井の照明の蛍光管を交換するために、脚立に上って天井を向いた瞬間に首を亜脱臼し、脚立から落ちて死んでしまうケースもあるほどです。

過去問題にはありませんでしたが、「リウマチの首関節亜脱臼が出題されるよ」と言ったところ、第102回と第103回と2年連続で出題されました。首の亜脱臼は命にかかわる問題なので、何度も出題される可能性があります。「重要な問題だから若いお医者さんに知ってほしい」という“出題者の意図”が働くのです。だから、第104回医師国家試験でも出題される可能性が高いと考えます。

関節リウマチに関しては103回で抗「CCP抗体」が初めて出題されました。これは完全に予想していたので、去年数多くの学生さんから喜びのお声を頂きました。とある学生さんから「なんで先生はそんなに勘が良いのですか?」と言われたのですが、これは勘ではなくて確信を持った予測です。

何故かと言えば、最近抗CCP抗体を測定することによって関節リウマチを早期発見することが可能になったからです。少し前までは関節リウマチは、文字通り関節が破壊されてしまうひどい状態になって初めて診断が付けられていました。しかしこの抗CCP抗体を測定することで関節リウマチを早期発見することが可能になったので、より早く治療を行うことが可能になりました。

その結果、患者さんをひどい状態にさせない事が可能になってきたわけです。とすればこの抗CCP抗体を出さない筈はありません。加えて言うと、関節リウマチの範囲での今後の新問予測としては「メトトレキサート」でしょうね。抗CCP抗体で早期発見をし、メトトレキサートで早期治療することによって関節破壊を予防することが可能になってきたわけですから。

私もリウマチの治療をしていますが、メトトレキサートを処方したら膝が痛くて歩けなかった患者さんが、3カ月後には歩けるようになっています。これだけの効能がある薬は、臨床医にとっても喜びです。出題者は、この喜びを若いお医者さんにも知ってもらうために国試に出題したいと考えると思うはずです。これが“出題者の意図”です。

国試の過去問題は何十年にもわたって蓄積され、膨大な量があります。これを全部暗記できる学生さんはいないはずです。そこで、勉強する問題を取捨選択することになります。そこで、過去問題を見て自分が医師になったときに「患者さんの力になれる」「これは大事だ」と思える問題から勉強しなさいと指導しています。問題を作成している医師がこんなことを考えているんだ、ということがわかってくると勉強が楽しくなってきます。

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