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皆が使う書籍を用いることが大切

2009/12/08
Dr.一茶

本名:塩澤昌英 医学博士。慶応義塾大学医学部卒業後、基礎医学(解剖学、分子遺伝学)の研究、教育に従事するとともに学生部において医学生の生活指導にあたる。ハーバード医科大学留学を経て、ウィスコンシン医科大学助教授(CVRC、Genetic Center)として多くの研究者を育てる。研究者としてはYoung Histochemist Award受賞(第9回国際組織細胞化学会)の他、国際学会でもシンポジストを勤める。現在は教育者として独協医科大学特任教授のほか兵庫医科大学、東邦大学医学部、北里大学医学部など数多くの大学で客員教授として活躍している。

現在、医師国家試験の合格率は90%をこえています。ですから「医師国家試験の合格のためにはどのような参考書が良いか」という質問に対しては、「皆が使っている参考書を同じように用いる」ということになります。つまり、他大学が常識としている内容を身につけようということになります。本の内容の良し悪しは別として、医師国家試験に合格するためには、日本全国の医学生が使用している参考書を同じように使用することが合格への近道であると言えます。

例えば、『イヤーノート』(メディックメディア社刊)は、日本全国の医学生の間では医師国家試験対策のバイブルとして浸透しています。ですから国家試験を勉強する上ではまず必要な参考書であるといえます。

しかしながら、重要なことは『イヤーノート』にいたるまでのプロセスであると私は考えます。つまり、『イヤーノート』の長所でもあり、短所でもあるのが内容の表示方法が羅列であるということです。記憶をする上では最適ですが、その内容を理解する上では別の参考書が必要となります。単に『イヤーノート』を暗記するだけでは、のちのち病態を理解するのは難しいでしょうし、膨大な量ですので丸暗記することも不可能です。つまりなぜそのような症状、検査所見を呈するのかという理由が必要となるわけです。

出題の大きい割合を占める内科学について理由を詳細に記載している書籍は3つあります。『内科学』(第9版 朝倉書店)、『ハリソン内科学』(メディカル・サイエンス・インターナショナル社)、『内科学書』(改訂第7版 中山書店)の3つです。それ以外に良書として医学書院の標準シリーズがありますが、内科学全体が一つにまとめられておらず、標準循環器病学、標準神経病学のように内科を各科に分けて分冊で販売しています。非常に質も高いのですが科目により改訂時期が異なり、古い版と新しい版が混在しています。新しい版のものは全国で使用している医学生も多いです。従って内科学書としては上記の3者のなかから選択することとなります。

ハリソン内科学も良書ですが、提示されている写真、内容が海外の症例を多く紹介しています。あくまで私見ですが、医師になってから国際社会で活躍することを目的として原著と比較しながら使用する上では良書ですが、医師国家試験を受験するうえでの効率性を考慮しますと『内科学』(朝倉書店)か『内科学書』(中山書店)のどちらかとなります。

最新刊の『内科学書』(中山書店)はとても良い本です。今回の改訂ではこれまで以上の最新の知識を土台とした理由の記載というものを意識して編集されています。もともと研修医を対象として内容が編纂されていたこともありますが研修医になってからも使用可能です。

2学年~3学年で導入として内科を理解するためには『STEP内科学』(海馬書房)が有用でしょう。内科学書は文語調の記載が多いのですがSTEP内科学は口語調の記載ですので読みやすいというメリットがあります。ですからCBTの勉強にはSTEP内科学を導入として臨床実習をまわるときには辞書的に使用する目的として『内科学書』(中山書店)と実際に学習する目的で『イヤーノート』を用いることが有効でしょう。

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