日経メディカルのロゴ画像

臨床実習の空き時間に国試の勉強をしておくこと

2009/11/24
Dr.一茶

5年生時に診断能力を身につけておくことが重要


「必修問題」に加えて、5年生時に身につけておきたいのが診断能力です。医師国家試験の相対評価の合格基準をもつのは「一般問題」と「臨床実地問題」になります。両者の相違点は臨床実地問題が性別と年齢を提示している実際の症例についての出題でその局面での判断、知識を問うものであるのに対して、一般問題は性別、年齢の提示がなく、与えられた疾患や病態についての知識を問うものである点です。

臨床実地問題において以前は診断名を問う出題が多かったのに対して、近年の国家試験では診断名の判定は当たり前であり、診断がついた上でどのような治療や検査を行うのか、どのような合併症がその症例に対して考えられるかなどの出題が増加しています。

ですから5学年生時に臨床実地問題の診断能力を身につけておき、その疾患についての症状、検査、治療などの詳細な知識を6学年時に身につければ、6学年時の夏にマッチングで時間がとられても秋から冬の卒業試験、2月実施の医師国家試験に間に合うはずです。

最近の6学年生時のカリキュラムをみますと大学によっては以前なら年明け(1月)に行っていた卒業試験を6学年生時の8月に実施するところもあります。遅い大学でも11月~12月に実施しています。私が受験した頃は医師国家試験が4月上旬に実施されていましたが、それが3月になり、現行では2月中旬に実施されるようになりました。卒業試験も前倒しにせざるを得なくなったわけです。

卒業試験は医師国家試験と同じ形式で3日間に渡り実施される大学が多く、出題内容の難易度も医師国家試験同等かやや難解であるのが実情です。6学年生といいましても8月に卒業試験が始まるとなれば6学年生としての勉強期間は4月から7月しかないわけです(実質4カ月)。ですから「必修問題」と「臨床実地問題」の診断能力を5年生時に身につけておいて、6学年時に残りの「一般問題」、「臨床実地問題」の正確な知識、「禁忌肢問題の考え方」を身につければ卒業試験、医師国家試験に間に合うわけです。

CBT、OSCEの導入により明らかに医学生の実力は向上したと思われます。現行のカリキュラムにおいて、5学年生終了時に医師国家試験を受験したとしても約8000人の5学年生のなかで2000~3000人は合格するかもしれません。

優秀になった理由としては、CBT、OSCEの導入や卒業試験が早期に実施されるようになったことが考えられますが、更に大きい影響を及ぼしているのがマッチングです。これは6学年時の夏に実施するマッチング試験に医師国家試験の内容を出題する研修病院が数多くあるからです。マッチング試験の準備として医師国家試験の勉強を早めに行う学生さんが増加したということが考えられます。

様々な要因により医師国家試験の勉強を早くから行う時代になってしまったわけですが、その一方で医師国家試験の合格基準に相対評価が盛り込まれている以上、今後の医学生としては更に高いレベルでの効率性が求められると思います。今後の厚生労働省、文部科学省の施策にもよると思いますが既に医学部の定員は増加しています。しかしながら、出口である医師国家試験の合格者数は増加するとは限りません。受験戦争のなかで医学生が苦労している実態に目を背けることはできないと思います。

  • 1
  • 2
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

この記事を読んでいる人におすすめ