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臨床実習の空き時間に国試の勉強をしておくこと

2009/11/24
Dr.一茶

Dr.一茶

本名:塩澤昌英 医学博士。慶応義塾大学医学部卒業後、基礎医学(解剖学、分子遺伝学)の研究、教育に従事するとともに学生部において医学生の生活指導にあたる。ハーバード医科大学留学を経て、ウィスコンシン医科大学助教授(CVRC、Genetic Center)として多くの研究者を育てる。研究者としてはYoung Histochemist Award受賞(第9回国際組織細胞化学会)の他、国際学会でもシンポジストを勤める。現在は教育者として独協医科大学特任教授のほか兵庫医科大学、東邦大学医学部、北里大学医学部など数多くの大学で客員教授として活躍している。

5学年からは臨床実習(BST)のカリキュラムに入ります。国家試験対策を重視するあまりBSTを軽視する学生さんがいますが、学生さんにはBSTを重視していただきたいと思います。BSTでは文献での内容を実体験でき、臨床現場での判断力、対応能力を実感できます。

BSTが始まりましても、一日中拘束される臨床科目実習とそうでない臨床科目実習があると思います。カリキュラムの都合で数時間程度の自習時間が与えられることも少なくありません。そうした時間に臨床実習を行っている診療科について医師国家試験の問題を学習しながら、臨床実習を進めていただきたいと思います。

この考え方には異を唱える先生方も多いかと思います。臨床実習中は臨床実習のみを考え、国家試験対策などは考える必要などないという考え方です。確かに今から5~7年前までは5年生で医師国家試験対策を行う必要はなかったと思います。ですがCBT、OSCEの導入により、全国の医学生の知識レベルは明らかに高くなり、第95回国家試験(現在第103回)から合格基準に相対評価が導入されたことから、医師国家試験に対する考え方は十年前とは明らかに異なってきていると思われます。

更に、臨床研修制度の変更によりマッチングが導入され、6学年時に多くの精神的、時間的労力を消耗することを考えますと、5学年生で徐々に医師国家試験対策を行う必要性が生じるわけです。具体的なマッチング対策としましては、6年時に自分が希望する病院の臨床実習や見学、さらにはマッチング試験を受験する必要があり、マッチング制度の経験のない先生方にとっては理解しがたいものがあります。まず履歴書等の書類を揃えるのに1日、研修病院によっては実習期間を1週間と設定しているところもあります。更に、マッチング試験の対応で移動期間も含めて2日、つまり、3カ所の臨床研修病院を受験すると受験する病院次第では夏休みがなくなってしまいます。

ですから5学年生の段階で医師国家試験対策を全くやらずにいるわけにはいかないということになります。4学年生時に受験したCBTの知識を維持しながら、5学年生の臨床実習の知識を加えて、医師国家試験対策を少しでも進めておけば6学年生の時に楽になります。

医師国家試験の合格基準は「一般問題」「臨床実地問題」「必修問題」「禁忌肢問題選択数」の4つを満たさなくてはなりません。これらの合格基準のなかで「必修問題」と「禁忌肢問題選択数」は絶対評価であり(必修問題は8割以上と得点が必要であり、禁忌肢問題選択数は3個以上の禁忌肢を選択すると不合格となる)、「一般問題」と「臨床実地問題」は相対評価となります。

5学年生時に学習しておくことが望ましいのはこの中では「必修問題」になります。「必修問題」は医師となる上で最低限身につけておかなくてはならない医療道徳、知識、手技などが出題されます。「必修問題」を勉強しながらBSTを行えば、臨床現場でどのような手技が実際に行われ、なにが常識であるかを実体験できます。また、6学年のマッチング試験の多くに必修問題が出題される病院が数多くあることからも5年生時に「必修問題」の学習は確実なものとすべきでしょう。

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