日経メディカルのロゴ画像

第4回 医師に不可欠な「協調性」を身につける

2009/11/10
Dr.一茶

論理的な思考を育てることが重要


1学年生から2学年生の教養科目、基礎医学を学ぶ上で重要なことは「論理的な思考」を育てることにあります。医学の内容は他の分野と比較して記憶すべき内容がどうしても膨大であり、それを完璧に丸暗記することは不可能だと思われます。まず論理的な土台として骨幹となる理屈を理解した上で、今学習している内容がその理屈の類似現象なのか相反する現象なのかを整理することにより、記憶の維持を助けていく必要があります。若い学年でこの考え方を身につけますと、高学年になってから応用が利くわけですね。

私自身、講義を含めた教育指導で重要視しているのが「論理的な思考」です。一つの症状、検査をただ記憶するのではなく、「なぜそうなるのか」という機序を重視して説明を心がけております。医学部の教育は解剖学、生理学、内科というように各科目が細分化されているのですが、実際に解剖学を説明する上では生理学の内容も必要ですし、内科の実際の所見を扱うことにより、解剖学の理解もより深くなります。大学の教育現場においてもその科目の理解だけではなく幅広い教育知識が求められてきているわけですね。

例えばある症状が生理的な代謝過程の障害でみられたとします。代謝過程の障害があるということは、代謝過程の先にある物質は足りなくなり、代謝過程の手前にある物質は溜まってしまいます。ということは代謝過程の先にある物質の欠乏による症状なのか、代謝過程の手前にある物質が蓄積され過剰になったことによる症状なのかを整理していく必要があるわけです。このような論理的な思考を1学年生から2学年生時に育てないと、4学年時になってCBT試験の勉強を始めたときに、単に丸暗記することとなり苦労するわけです。人は単に丸暗記しようとしても3日で忘れてしまいます。難解な医学のテクニカルタームをかみくだき、まず自分の言葉で理解し、理解の過程で論理性を用いることにより理解を助けることが大切だと思います。そして学生さんが自分自身の成功例としての経験を1学年生から2学年生時に蓄積していただき、自信をもって医学部の高学年に臨んでいただくことが肝要だと思います。

勉強時間の3分の1は復習に充てる


具体的に自己学習で心がけないといけないことは勉強を常に先に進めることではありません。1日の学習時間のうち3分の2は「先に進むこと」の時間に費やしますが、3分の1は「復習」に充てることが重要です。例えば、1日3時間勉強するとして、2時間は新しい内容理解に努めますが、1時間は既に3日前から1週間前に学習した内容を論理性を重視しながら復習することを勧めます。3分の1を復習に充てますと、自分のそれまでの足跡を確認できて、記憶の維持が良くなるだけでなく、科目を越えて他の科目の知識を用いて別の科目の知識を整理する上で有効なわけです。医学、医療の現場は単純に各科に分けることはできません。例えば、皮膚科領域の疾患で内科外来を受診することもあれば、耳鼻咽喉科の疾患で皮膚科を受診することもあります。

ある疾患を学習していると平坦な疾患でも別の科目の観点からみると全く別の側面がみえてくることがあります。既に学んだ科目を整理しながら、別の科目を学習することにより、理解が深まることが多くあります。それが記憶の維持に繋がるだけでなく、学際領域(各科目の境界領域)の深い理解が得られるようになります。先の科目を学習しながら、前の科目の復習をすることは、時間を失っているように思えるかもしれませんが、理解度を高め、結果として学習効率も上げるものと考えております。医学部における授業は次から次へと異なった科目が進行していきますが、自己学習を行う上では後戻りしながら学習することに躊躇する必要はないと思います。先にただ進んでいくのは、その時点では良くても長い目でみると苦しくなります。

勉強時間の3分の1を復習に充てることが有効な勉強法であることを忘れないで下さい。

  • 1
  • 2
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

この記事を読んでいる人におすすめ