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第4回 医師に不可欠な「協調性」を身につける

2009/11/10
Dr.一茶

Dr.一茶

本名:塩澤昌英 医学博士。慶応義塾大学医学部卒業後、基礎医学(解剖学、分子遺伝学)の研究、教育に従事するとともに学生部において医学生の生活指導にあたる。ハーバード医科大学留学を経て、ウィスコンシン医科大学助教授(CVRC、Genetic Center)として多くの研究者を育てる。研究者としてはYoung Histochemist Award受賞(第9回国際組織細胞化学会)の他、国際学会でもシンポジストを勤める。現在は教育者として独協医科大学特任教授のほか兵庫医科大学、東邦大学医学部、北里大学医学部など数多くの大学で客員教授として活躍している。

かつて医学部では1学年生と2学年生では英語、独語、物理、化学などの教養科目を医学の素養として十分時間をかけて学んでおりました。そして3学年から6学年にかけて余裕のあるカリキュラムのなかで基礎医学と臨床医学を学んでいました。しかしながら、医師国家試験の難易度が上がり、更に4学年時にCBTやOSCEという新たな試験制度が導入されたことにより、その対応のための学習時間が必要となったため、各医学部のカリキュラムにおいて以前と比較して早い学年から基礎医学、臨床医学を学ばなければならなくなりました。

しかも医学生が勉強しなくてはならない医学知識は新たな疾患や病態の発見と解明により、すなわち医学進歩にあわせて、以前と比較して倍増しています。つまり、早い学年から膨大な医学的知識を短期間に身につけなければならない時代になったのです。そのため、カリキュラムに余裕はなくなり、医学生が課外活動に時間を割くことが難しくなってまいりました。

私は医師にとって最も大切な人格として「協調性」を最重要視しております。以前の医学生が協調性を学ぶ場所としては、高校時代までの教育や家庭教育は勿論ですが、医学部の1学年生や2学年生において、課外活動(クラブ活動)で身につける機会が多かったと感じております。もともと医学部には学業の成績の優秀な学生さんが入学してきますが、あまり高校時代までには組織や家庭内で厳しく叩かれる経験をお持ちでない方が多いわけですね。しかしながら、これだけカリキュラムが詰まってきますと、カリキュラムに時間的余裕がないために最近の学生さんは課外活動で団体生活を行う機会が減少してまいります。それゆえに協調性、社会性を身につける絶対時間が足りなくなっているのではないでしょうか。

最近は学生さんの協調性を高めることを目的に、期間に違いはありますが1学年生時に集団生活(短期の寮生活を含む)をカリキュラムに組み込む大学も見られるようになりました。臨床の現場においては医師やコメディカルの方々を含めてのチーム医療が重要視されており、このチーム医療を行う上で協調性を育てることを目的とした取り組みな訳ですね。協調性を高めるにはクラブ活動に参加することが有効だと思いますが、現在はボランティアも含めた社会活動が浸透しており、積極的に社会活動に参加することにより協調性が育つものと思われます。

学習効率を高める上で重要視すべきなのが学生さん同士の互助活動です。医学を学ぶ上で文献から学ぶことは大切ですが、自分ひとりで学習していますと学習速度と効率性に限界が生じます。そこで学生さん同士が質問設定を行い、お互いに口頭試問を行いながら、自己学習だけでは気の付かなかった点や理解できなかった点を整理しあうことが必要となるわけです。1学年生の段階で協調性を身につけることはお互いを助けようという精神を育て、学習効率を高める上でも効果的と考えられます。

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