「マッチングは、就職活動なのか?」
「研修であって就職とは違うんじゃないのか?」
そう考える人もいるかと思う。
しかし、新臨床研修制度が開始されてからは、従来のように医局に帰属し、各施設へ派遣されるという研修医の就職形態は大きく変わった。新臨床研修制度の初期臨床研修は、マッチングシステムを利用した「個人と個別施設との直接契約」だと考えるべきだ。つまり、就職そのものである。
医学生がマッチングに応募することは、企業を対象にした一般学生の就職活動とほぼ変わりがないと、とらえることができる。従って、前回に強調したように、できるだけ早く、活動を始めるべきだ。
私が初めてレジナビ・フェア(注71)に参加したのは、5年生(いまから3年前)の時だった。当時の参加学生の大半は6年生であり、私は「そんなに早くから参加して真面目だね」的な視線でみられることが多かった。
しかし現在は、レジナビ・フェア参加者の8割を5年生が占めている。その理由は恐らく次の2つだろう。「なるべく多くの病院を訪問したい」「クリクラ(病棟実習)の始まった5・6年生では夏・春休みがほとんどとれない」ということだ。

6年次には自由選択実習が4週間存在したが、単位認定の書類申請の関係上、全ての日数を学外実習に割り当てるのは困難であった。また、冬季休業中の病院見学は難しく、それを除くと5年次の長期休暇は3年次の約半分にまで減少する
実際、私の母校での各学年における長期休暇は図のようになっている。たぶん他の大学でも同様であろう。
このように5・6年生の春期休暇と夏季休暇は短く、市中病院へのアクセスが制限される。さらに6年次の夏季休暇は、ほぼ就職試験(マッチング試験)で消費されることから、必然的に低学年から病院実習に行く必要があるのだ。そのため病院見学、病院実習の開始時期は年々若年化を進めており、今後もその傾向は強まると思う。