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第11回 台湾の人々の目標にダイレクトアクセスする姿勢

2010/04/20
南野陽子(なんの ようこ) ピアニスト

私は10歳からの5年間を台湾の首都である台北で過ごしました。この国の人々に対して最初に私が持った印象は、おおらかな南国の人々というものでしたが、時間が経つにつれて彼らがとても興味深い一面を持っていることに気が付きました。

それは物事を実現しようとする際の姿勢で、台湾の人々は日本人に比べると、細かいことや手順を気にせずに目標の本質にダイレクトにアクセスするのです。そして実際に国の規模が小さく、人口も少ないこの国では様々なことが驚くほど速く形になります。台湾の人々が物事を実現しようとする際の行動力やスピード感覚を、私はとても気に入りました。

目標への行動力


台湾に移り住んでから、私がピアノのレッスンを受けることになった台湾人の先生は、とても積極的な指導をしてくれました。おかげで難曲にもチャレンジし、ピアノを弾くことがどんどん面白くなっていきました。

そんなある日、私は先生に勇気を振り絞って言いました。「ヨーロッパに行ってピアノの勉強がしたいのです!」まだ10代前半の私の顔をしばらく見ていた先生は、「わかった。僕も出来る限りの協力をするよ。」と言ってくれました。

数日後、早速先生から「音楽大学の試験があるから聴きにいらっしゃい。」と連絡がありました。先生は台湾の音楽大学で教鞭を取っていたので、その大学の試験に同席させてくれたのです。私の席は年配の教授陣がずらりと居並ぶ試験会場のテーブルの一番隅。大学生よりずっと若い私が、その場に居合わせるのは傍目に見るとかなり不自然でしたが、先生は全く気にしていない様子でした。先生の配慮のおかげで、私は自分よりずっと年上の、台湾でもトップクラスの音大生の演奏から一段上の表現力と厳しさを学ぶことが出来ました。

私に協力してくれたのは先生だけではありません。音楽に全く関係のない台湾人の知り合いでさえ、「ヨーロッパにピアノの勉強に行く」という私の目標に対して、一生懸命に手を尽くして取り計らってくれるのです。

ある時、突然学校に連絡をもらったことがありました。「台北に来ているヨーロッパの有名なピアニストと偶然知り合いになり、あなたにレッスンをしてもらう了解を取りつけたので、今すぐいらっしゃい!」びっくりした私はあたふたしながら学校を早退して、その場にかけつけたものです。

こんな風に彼らは目標へのステップをどんどん駆け上がるための後押しをしてくれました。私がこうした彼らの目標にダイレクトアクセスする姿勢を目の当たりにして学んだものは大きく、「ヨーロッパでピアノの勉強がしたい」という願いを叶える大きな原動力となったのです。

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