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第10回 チェコ・ボヘミア旅行で学んだこと。現状維持は人生発展のリスク!?

2010/03/01
南野陽子(なんの ようこ) ピアニスト

中止になったツアー


私がウィーンで住んでいたアパートの近くに小さな旅行社があり、ある日のこと「知られざるボヘミア」というウィーン発のバスツアーの張り紙が目に留まりました。私はチェコの田舎を訪れてみたいと思っていたので、早速ツアーに申し込んでみました。ところが残念なことに申し込み人数が足りなかったため、このツアーは決行されませんでした。

連絡を受けた私が旅行社を訪ねると、スラパークと名乗る男性が奥の部屋から出て来て「せっかく申し込んでくれたのにすみません。ボヘミアの田舎を訪れるツアーはなかなか人が集まらなくて苦労しています。」とのこと。そして彼が自分もツアーが中止になると、当てにしていた手当がもらえないという話をしたので、私は深い考えもなく「プラハ周遊3日間みたいなツアーにしたら確実に人が集まるのに…。」と言いました。

すると彼はこう言うのです。「そんなことをしてなんの意味がありますか?現状を維持するだけなんてことをしていたら、僕がなんのために西側に来たのかわからないじゃありませんか」。

私は全く予想もしない展開に驚きつつも、どうやらチェコからウィーンに出て来たらしい彼の考えにとても新鮮なものを感じました。そこで私はこう提案してみました。「私もぜひボヘミアの田舎に行ってみたいので、人数が集まりそうなインパクトのある新しい企画を一緒に考えませんか?」

念願のボヘミア地方へ


試行錯誤の末出来上がったツアーは「ドヴォルザークの足跡と、知られざる古城を訪ねるボヘミア5日間の旅」。

この旅のメインは音楽と古城。ドヴォルザークとスメタナという二人のチェコを代表する作曲家ゆかりの場所を訪れ、夜にはオペラを観ます。同時に今まで公式に公開されていなかったボヘミア地方の古城を訪れるという内容でした。古城の中には、その昔モーツァルトも演奏に訪れた大広間を持つ古城も含まれていました。私がピアニストということを知ったスラパークさんの提案で、その古城を訪れる際には、大広間で私がモーツァルトの作品を演奏するサロンコンサートを行うことにもなりました。ツアーは何かと盛沢山な内容になり、その結果スラパークさんいわく「今までに見たこともない風変わりなメンバー」が集まりました。

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