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第9回 ユダヤ系音楽家の“情報ネットワーク術”~何よりも情報を優先する人々

2010/02/15
南野陽子(なんの ようこ) ピアニスト

約束の朝に、私が緊張しながらその場に出向くと、教授は開口一番「私達には共通の知人がいるようだから、堅苦しい挨拶は抜きにしよう!」と、とてもリラックスした表情で迎えてくれました。驚いたことに、教授は私の恩人でもある別のロシア人教授と旧知の仲だったのです。私の方もお世話になっている知人の話題にすっかりリラックスして、その後の会話はとてもスムーズに運びました。私はこのアカデミーでは、あるキーパーソンに直接交渉しないと何も思い通りにことが運ばないこと、そしてそのキーパーソンの名前や直接の連絡先などを彼に伝えました。

食い入るように私の話に耳を傾けていた教授は、深くうなずきながらメモを取りました。そして食事の最後に彼は「今日は本当にありがとう。これからは私の協力が必要な時にはいつでも連絡するように」と、連絡先を渡してくれたのです。私たちが、公開レッスンの始まる時間に合わせてホテルのレストランを出ると、教授はいきなり『ちょっと失礼!』といって、さっそくアシスタントに連絡を取り始めました。右手にバイオリンケースを下げたまま、携帯電話で仕入れたばかりの情報を基に指示を出す迅速な行動力に、私はただ感心するばかりでした。

情報を制して国際社会を生き抜く


私はこういった経験から、ユダヤ系音楽家の人々が情報を何よりも大切なものと考えていることを知りました。彼らの間では情報には二つの種類があると考えられています。1つは既存のメディアなどに取り上げられる情報。そしてもう1つはそのような場所には現われることのない情報で、大切な情報というものは決して表に現れることなく、現代においても人から人へ伝わると考えられています。

このような理由から、彼らは現代における最新メディアからの情報を押さえた上で、なおかつ自分独自の人的情報ネットワークづくりと、情報交換に出来る限りの労力と時間を費やします。そしてその情報を適切な判断、迅速な行動につなげて国際社会を生き抜いていくのです。

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