日経メディカルのロゴ画像

第9回 ユダヤ系音楽家の“情報ネットワーク術”~何よりも情報を優先する人々

2010/02/15
南野陽子(なんの ようこ) ピアニスト

世界の音楽家には、優秀なユダヤ系の人々が数多く存在します。私があるアメリカ人ピアノ科教授のアシスタントを務めているオーストリア・ザルツブルクの国際サマーアカデミーにも、沢山のユダヤ系音楽家や音楽大学教授陣がメンバーに名前を連ねています。ユダヤ系音楽家の大きな特徴は、情報を非常に大切なものと考えていることです。そのため世界的にも有名な夏のザルツブルク音楽祭の時期に合わせて開催され、世界各国の音楽家が集うこのアカデミーを、彼らはとても大切な情報収集の場とも捉えているようです。

彼らが初日の歓迎レセプションで最初にすることは、このアカデミーにおいて情報を持っている、あるいは自分に必要な情報を持っている人物とのアポイントを取ることです。期間中の忙しい日程の合間を縫ってランチやディナー、必要とあれば朝食時にまでどんどん予定を埋めていきます。そして地元のザルツブルクやウィーンを始めとする音楽関係者だけでなく、ヨーロッパの一流音楽大学で教鞭を取る教授陣、第一線の音楽家として世界中のコンサートホールで活躍する人達と情報交換を活発に行い、今後の活動においての協力や提携の可能性を探るのです。

情報を適切な判断、迅速な行動につなげる


ある年のこと、世界的に有名なユダヤ系ロシア人のバイオリン科教授が教授陣に加わることになりました。自己紹介を兼ねて挨拶に来たその教授に対して、私がアシスタントを務めている教授が「彼女はヨーロッパで教育を受けたので、オーストリア、ドイツ、フランスの音楽事情に詳しく、私はとても助かっています。学生時代からこのアカデミーに関わっていてクラス運営のポイントもよく心得ているのですよ」と、私のことを紹介しました。

するとその教授は「今週中にぜひ一緒に食事をしてもらえませんか?」と私に尋ねました。突然の提案に驚きながら承諾した私でしたが、期間中は忙しくてお互いのスケジュールがなかなか合いません。すると教授は「朝食時はどうでしょう?」と当たり前のように提案して、あっという間にアポイントを決めました。

  • 1
  • 2
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

この記事を読んでいる人におすすめ