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第8回 私に勇気を与えてくれたロシア人教授の言葉

2010/01/05
南野陽子(なんの ようこ) ピアニスト

どうしたら出来るかを考えることに集中する


「私は教授の知り合いの方とは一面識もありません。本当にその仕事のメンバーに入れていただいてよいのでしょうか?」教授は断言しました。「私達ユダヤ人は人的保証を一番大切にするのだよ。つまり、私があなたのことを保証すれば、彼はそれで充分納得しているはずだ。彼と私は昔からの付き合いだからね」と。

「それに…」と教授は付け加えました。「出来るか出来ないかの心配をするのはやめなさい。どうしたら出来るのかということに神経を集中しなさい。」

その言葉に私は思わずはっとしました。確かにその頃の私は物事を前向きに考えることが出来なくなっていて、自分が日本で思うような活動が出来ない理由ばかりを探しているような状態だったからです。

教授は自身が30歳でロシアからアメリカに亡命した時、ほんの少しの手持ちのお金しか持ち合わせていなかったこと、英語もほとんど話すことが出来なかったことなどを話してくれました。その後、そのような状況からどうしたら道を切り開くことが出来るかを考えて、今まで努力を続けて来たとのことでした。

私は今まで自分の目の前に重く立ち込めていた霧が、うっすらと晴れて行く様に感じました。沢山の勇気が体の奥から湧いてきたのです。気がつくと私は「ぜひその仕事のメンバーに加えて下さい。」と答えていました。

この一件以来、私は新しく何かを挑戦するにあたって不安な時には、必ずこの『出来るか出来ないかの心配をするのはやめなさい。どうしたら出来るのかということに神経を集中しなさい』という教授の言葉を思い出すようにしています。すると自分でも不思議なくらい迷いが吹っ切れて、目の前の大切な事に集中出来るようになるのです。

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