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各科診療域のスペシャリスト・インタビュー
過酷な研修医時代と基礎研究への没頭が“いま”の自分をつくった
第4回 京都大学医学部 泌尿器科学教室教授 小川 修 氏

2009/12/22
京都大学医学部 泌尿器科学教室教授 小川修 氏

京都大学医学部 泌尿器科学教室教授 小川修 氏

「10年後の自分が見えない」という不安をかかえる医師の卵たちに、各科診療域の先輩であり、スペシャリストとしての評価の高いドクターに、仕事の魅力と医師のあるべき姿を語ってもらい、明日の医師にエールを送る。第4回は、ラグビー部入部が泌尿器医の道へつながり、過酷な研修医時代と基礎研究に没頭したことが“いま”の自分をつくったと語る京都大学医学部泌尿器科学教室教授 小川 修 氏。

(聞き手:日経BPクロスメディア本部プロデューサー 阪田英也 構成:21世紀医療フォーラム取材班 原田英子)


――小川先生の現在の仕事内容を教えてください。

小川 泌尿器科は、例えば、がんにしても、腎臓がん、膀胱がん、前立腺がん、精巣腫瘍、陰茎がん、副腎腫瘍と数多く、尿路結石、男性不妊症、腎移植、STD(sexually transmitted diseases)を含む尿路感染症、さらに性機能障害、排尿機能障害、小児泌尿器科等々かなり大きなフィールドの寄り集まりで、21世紀の医療といわれている「がん」「生殖」「移植・再生」、これら全てを担当しています。これを全部担当できるところは、他の診療科にはないんです。例えば、生殖医療を担当しているのは主に婦人科と泌尿器科ですが、婦人科は移植医療を行っていません。僕は10年前に今の職に就いたのですが、この21世紀の医療とされる「がん」「生殖」「移植・再生」の3つを選択して教室を運営しています。大学病院はその使命として泌尿器科の全フィールドをやらないといけないという考え方もあるのですが、今の大学病院には全てをカバーするだけのマンパワーがないので、関連の病院と協力しながら限られたマンパワーを有効に使うことを考えています。

僕自身の専門は「がん」です。ですから、外来の9割以上はがん患者さんで、その中の7割ぐらいが前立腺がんです。前立腺がんの場合は、治療のオプションがたくさんあります。1つは手術。それも、従来の開腹手術と体腔鏡手術。放射線治療は、外照射とブラキセラピー(小線源)。何もしないで経過観察するアクティブサーベイランスというのもありますし、ホルモン療法もあります。僕らは患者さんに合ったオプションをそれらの中から選びながら治療していくわけですが、最終的には患者さん自身に選択していただくという形になります。

京大病院ではブラキセラピーを導入していません。これは、さっきいったマンパワーを効率的に使った医療を目指しているからです。大学病院の泌尿器科医は基本的に外科医です。外科医の教育には長い時間と経験が必要です。もし、手術もブラキセラピーも、年間2例ぐらいやれば、この技術がメンテナンスできるような簡単なものであれば、それは両方やってもいいんです。しかし、そんななまやさしいものではないし、患者さんに迷惑をかける可能性さえあります。ブラキセラピーは京大病院で行わないで、手術に特化したスペシャリストを養成したほうが教育面からも効率的なんです。

詳しいことは、僕らの教室のWEBサイトが、充実しているので、ぜひ、アクセスしてみてください。ついでに「泌尿器紀要」の編集後記に、僕が書いているエッセイもぜひ読んでみてください。


――先生の1週間の平均的なスケジュールを教えてください。

小川 6時半に車で家を出て、7時には教授室に着いています。メールチェックして、患者さんに失礼のないように身だしなみを整えて、7時半に仕事開始。水曜日は朝一番から病棟の回診です。1時間以内で約50人の患者さん1人ずつに声をかけて回ります。それ以外の曜日の朝はカンファレンスです。昔は回診もカンファレンスも夕方に行っていたんですが、だらだらして夜の7時、8時まで4時間から5時間もかかっていました。朝型に切り替えると、8時半から外来とか次の仕事が待っているので1時間で終わらないといけないでしょう。そうするとピシッと終わるようになりました。

外来診療は月、木曜の週2回で、各日30人ずつくらい診ています。高齢の男性患者が多く、京都大学の名誉教授などVIPの多い外来なので気を遣います。月曜日は学生のポリクリもあります。火曜、金曜日は手術。水曜日はいろいろな方と面談する日にしています。教授になりたての時には、夜11時頃まで仕事をしていたんですが、さすがに体力的にもつらくなって、最近は9時くらいには病院を出ることにしています。今年、副院長になりましたが、職務で東京に行ったり、会議や夕食会がたくさん入って忙しくなった感がありますね。そのぶん、出来るだけ健康には気をつけています。

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