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『連載 医療現場に聞く』第1回
質のよい医療を提供するためには施設の集約化が必須
北関東循環器病院院長 南 和友氏インタビュー(2)

2010/04/16
聞き手・構成:21世紀医療フォーラム取材班 狩生聖子 文責:日経BPnet編集プロデューサー 阪田英也

――大学病院の抱える問題は、近年、よく取り上げられます。南先生はドイツから日本の大学に戻ってきて、どのような問題を感じられましたか。

南 帰国した当初、私の赴任した大学病院心臓血管外科の年間手術数は150例程度でした。スタッフや施設の規模からは、最低500例は可能であり、スタッフの技術向上のために患者さんを受け入れて、症例数を増やすことができると考えました。しかし、簡単ではありませんでした。大学病院ですから、他科の手術も入るので手術室の使用日は限定されています。麻酔科医の不足の問題もありました。手術数が増えると麻酔科医の負担も増えます。

すでにお話ししましたが、日本は勤務医の労働条件が悪いこともあり、同じ条件の中で負担が増すことを理解してもらうのはとても難しい。看護部とも調整しなければならないことがありました。専門的な知識、熟練した技術を持つ専属の看護師は欧米では常識です。ドイツでは麻酔、ICU,手術室をそれぞれ専門にする看護師がいて、さらに各科の専門所属とすることで医療の質を維持しています。

看護師は医師のサポーターではなく、大事なパートナーです。熟練した専門の看護師がいれば手術は滞りなく進み、時間も最小限で終わります。そこで看護師の中から心臓外科専属のスタッフを派遣してくれるよう交渉し、理解を得ました。その結果、5年間かけて年間300例近くの手術ができるようになりましたが、これが限界でしたね。やはり集約ということでは、心臓に特化した施設を新たに創ることが理想です。



日独の心臓外科施設とその症例数



――集約化の問題ですが、地方によっては、地域にいくつもある病院のうち、その1つでも病院がなくなると、必要な医療を受けられない人が出てくるという意見も聞かれます。

南 心臓外科に限定して言えば、家の近くの病院に心臓外科の病院があっても、ほとんど手術をしていなければ、いざというとき患者の命を救えない可能性があります。それならば、隣町で質の高い医療を受けるほうがよい、と考えます。もっとも病院同士の連携や移動手段などが確保できていることが大前提ですが、このあたりはきちんと検証して議論していけば、結論が出ると思います。

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