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21世紀医療フォーラム「医師の育成、大学附属病院のあり方」研究部会 統合後第2回会合が開催
リアルイベントの重視とアクションプランへの移行を確認。病院財務の検証への道筋も示す

2010/02/15
文:21世紀医療フォーラム取材班 桶谷仁志 文責:日経BPnet編集 プロデューサー 阪田英也


野村ヘルスケア・サポート&アドバイザリー代表取締役社長 中川順子 氏

これを受けて、森山寛氏(東京慈恵会医科大学附属病院長)、大島伸一氏(国立長寿医療センター総長)は、私立医大や市中病院のように、設備投資などを含めた財務の数値が一般企業に準じる病院を基準にして、病院の財務を検証すべきだとした。その上で「エリア別に医療需要を計算し、あるべき病院のサイズを決めていくことが必要」(大島氏)という意見だった。

ただ、医療需要は、診療科ごとに違うので、需要の算定には、診療科ごとの専門医制度の問題も関わってくる。したがって、門田氏は「医師の教育体制まで含めた地域の医療全体を考えながら、医療需要を算出しなければならない」とした。

こうした医師側の議論に対して、三谷氏は、自身の企業コンサルティングの経験を踏まえて、「あれもこれもと数字を突っ込んでいくと、リサーチが空中分解する可能性が高い」とした。「全体像を緻密に描きたいという理想は分かるが、現実には、数値を絞り込んで大雑把な形でリサーチするか、1分野のみに絞り込んで、狭い範囲でリサーチするか、どちらかの方法をとるべきだ」。リサーチ対象となる数値は、地域の患者数、医療単価等40種類程度に絞り込むのが現実的だという。


千葉大学学長 齋藤康 氏

中川順子氏(野村ヘルスケア・サポート&アドバイザリー代表取締役社長)は話を引き継ぎ、「米国で公立病院が実施した調査資料があるので、まずそれを下敷きにしながら、典型的な地域を選んで、リサーチを実施すればいいのではないか」と述べた。

齋藤康氏(千葉大学学長)は「そうしたリサーチはぜひ千葉でもやりたい」とした。「一般診療の部分を差し引いて、大学附属病院本来の高度かつ先進的な医療だけを実施した場合の収支シミュレーションを出したい。その上で、地域に必要な医師数、看護師数などの議論をすべきだ」。森山氏は「外来の統計が難しい」という参考意見を示した。「紹介ではない、フリーの外来をどう見るかが難しい。フリーの外来で重症患者も来るし、入院にも結びつくので、一概に否定はできない」とした。

内閣府総合科学技術会議議員 本庶佑 氏

会の最後に、司会の阪田から、翌2010年の21世紀医療フォーラムの年間スケジュールが発表された。3月中旬に実施し、5月連休明けにリリース予定の「医学生の意識調査」は初の大規模な試みになる予定だ。さらに、10月には、ハーバード・ビジネス・スクールと協力して開催予定の「医療と経営」国際シンポジウムへの期待も大きい。閉会後の懇親会では、代表世話人の1人である本庶佑氏(内閣府総合科学技術会議議員)が主宰して、年2回程度開催予定の「医療塾」のテーマに関して、和やかな意見交換も行われた。

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