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“メタボ”以前から、生活習慣病に対応してきたベテラン講師陣による実践的な保健指導者教育のノウハウ
NPO学習支援センターがJR東日本と連携し、「特定健診・特定保健指導実践者研修」を開催

2009/12/28
聞き手:日経BP社クロスメディア本部プロデューサー 阪田英也 構成:21世紀医療フォーラム取材班 原田英子

話題性が先行し、実施に至る前にリーマンショックなど国際的不況のあおりを受けて、萎んでしまった感のある「特定健診・特定保健指導」。しかし、社員の健康を真剣に考える優良企業は、この保健指導をいかに効果的に実施するかに腐心している。
市民の技術や知的レベル向上への支援事業を行うことを目的に設立された「NPO学習支援センター」では、より効果的な保健指導のあり方を模索。メタボ予備群などといった呼称がない時代から、生活習慣病のリスクのある人たちに対して行動変容を起こさせるための動機づけをしてきたベテラン講師陣を集め、「特定健診・特定保健指導実践者研修」を企画した。
その研修の第1回として実施したのが、JR東日本グループと連携した「特定健診・特定保健指導実践者研修」。NPO学習支援センター代表・塩塚健児氏に、特定健診の問題点、実効性ある保健指導のあり方などについて聞いた。

(聞き手:日経BPクロスメディア本部プロデューサー 阪田英也 構成:21世紀医療フォーラム取材班 原田英子)




特定保健指導対象者への動機づけに関する研修

――生活習慣病予防対策として、2008年4月から始まった「特定健診・特定保健指導実践者研修」ですが、“メタボ”という流行語を生み、男性85センチ、女性90センチという腹囲の数値だけが一人歩きした感があります。施行から1年半余が経過して、果たして実施状況はどうなのでしょう。

塩塚 「特定健診・特定保健指導」が始まる前の話題性が非常に高かった割に、今は機能してないに等しいところが多い。まじめに取り組んでいる優良健保組合は2~3割、それも健診までで、指導まではいっていないのが現状です。

そのため、健診で見つけたメタボ対象者及び予備群の方々の、「太っていたっていいじゃないか」「タバコを吸ったっていいじゃないか」という相も変わらぬ意識に対して、生活習慣改善支援の説得力が実に弱い。これでは、せっかく健診で発見した意味がないわけです。やはり企業内の保健師、看護師、管理栄養士の方々が、しっかりした信念を持って対象者・予備群を指導していかなければなりません。私ども学習支援センターでは、そのお手伝いをするために、「特定健診・特定保健指導実践者研修」の企画・運営に乗り出し、即戦力としての対応力、支援力を備えた人材を育てるカリキュラムを作成しました。

――学習支援センターの本来の事業は何ですか。

塩塚 さまざまな分野で活躍してきた人たちの経験や技術、知識を、市民同士で教え合い、学び合う場と機会を創出し、提供することで、全ての人々の技術や知的レベル向上への支援事業、活動を行うことを目的に、平成14年に設立しました。

それに加えて、平成19年からは、高齢化社会に対応すべく、健康維持、医療関連情報の収集・提供、研修などにも活動の幅を広げてきました。ドクター領域に関しては我々の出る幕はありません。健康に関する市民教育となると、特に高齢化社会では、予防医学が問題になります。中でも、最近多く取り上げられているのが、メタボとメンタルヘルスです。

メタボ予防、メンタルヘルスアに関しては、理論に伴う効果的な実施策が確立されておらず、教育のシステムもマチマチです。NPOとして、これらをどういうかたちでフォローし、援助していくかが一番の大きな問題でした。何が支援できるか? コメディカルの方々の意識啓蒙、知識のレベルアップに関わっていきたい。そのような目的で、教育を中心とする支援事業を展開しています。

――その1つの活動事例が、JR東日本グループで人材育成などを手がける(株)JR東日本パーソネルサービスの依頼による「特定健診・特定保健指導実践者研修」の企画・運営の受託ですね。

塩塚 きっかけは、当社のウェブサイトでした。もともと、東京都栄養士会と組んで実践者育成研修をしてきていたので、プログラムがしっかりできていたという自負はあったのですが、そこを評価していただいてのオファーでした。

当NPOが受託する前年、つまりメタボ元年には、JR東日本内部でも独自に取り組み、特定保健指導に対する工夫や活動を行っていました。従業員数6万2千人、グループ会社含め8万人という大所帯で、しかも東京から秋田、新潟など、地域による特性もありますから、均質な指導を行う難しさは想像に難くありません。

指導面では、保健師さん個々の裁量に依存していたこともあって、統一的な効果が望めないし、もう一歩進んだ上級の指導法について学びたいという要望が、現場からも全体を管轄する人事・厚生部からも出ていたそうです。そんな矢先、当社のカリキュラムが目に留まったということです。

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