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医療再生に解決型の提言を「IMS ジャパン ヘルスケア・シンポジウム 2009」開催

2009/12/16
取材:21世紀医療フォーラム Good Doctor NET編集部 原田英子 文責:日経BP社クロスメディア本部プロデューサー 阪田英也


アルフレッサホールディングス(株)代表取締役会長 渡邉新氏

続いて、アルフレッサホールディングス(株)代表取締役会長の渡邉氏は、35年間をメーカー勤務、次いで医薬品卸を10年、その間、700床ほどの病院の理事を勤め、調剤薬局の経営にも関与している立場から、医薬品卸の現状と今後の役割について述べた。

「卸の役割の1つである情報の提供機能について、22万5000(病院9000、診療所9万8000、調剤薬局5万1000、歯科診療所6万7000)という欧米に比べて圧倒的に多い状況の中でも、全国津々浦々に流通体制を整備し、日々、医薬品を供給している。業務の中では、一方通行では成り立たない製薬会社や行政を発信源とした情報と、患者や医療機関を発信源とした情報の仲介役を担っている。つまりは、日本の安全な医薬品流通に一役買っていると自負している。その仲介役を担う2万人のMSが、5万6000人のMRと連携してきめ細かく情報活動にあたって、安心、安全な医療に寄与している」と医薬品卸の役割を解説した。

さらに渡邉氏は、「医薬品流通の信頼性確保のためには、トレーサビリティの確立、大規模災害発生時にも継続的な医薬品流通ができることが重要。そのために、耐震や免震構造を備えた物流センターなどを整備している。基幹医薬品はいわば一種のライフラインという考えから、パンデミックや災害発生時においても医薬品の流通を滞らせるわけにいかない」と、直近の課題への対応を披露。

また、「卸の物流コストが増大傾向の中、今の枠組みのまま、さらにジェネリックや薬価が低い長期収載医療品の流通が増加すると、さらに卸の収益は圧迫されていく。多くの人々の健康に資するために、薬が、より安価で提供されることも必要だが、安いばかりでなく、適切な情報を提供することも必要。そのためにも、医薬品卸が主体性をもって販売する時期にきているのではないか」と、これからの医薬品卸の立場を展望した。


日本薬剤師会副会長 山本信夫氏

各パネリストによる講演の最後に、日本薬剤師会副会長の山本氏は、「医療再生を考える時、医療の要素としての、医療提供体制(仕組み)、人(医師、看護師、薬剤師など)、財源(医療費、診療報酬など)、物(医薬品、医療材料)という4つを見直すことが大切」と指摘。また、「新薬の研究と開発は、最新の医療を国民が享受できる最大の手段」とした上で、「新薬の開発が衰退する中で、どのようにして、医薬品の研究開発に投資していくかを考えねばならない」と警鐘を鳴らした。

さらに山本氏は、「医薬品情報を、薬剤師が迅速に的確に集中して提供できる体制ができれば、卸やMRの負担が軽くなる。そのためには、職能の分担と連携、チーム医療の推進、製薬産業のグローバル化、薬価維持特例方式の必要性、後発医薬品使用促進などの方向性がしっかりと示されなければならない」と述べ、これらの改革の上に、国民が受ける医療のメリットがあるとした。

また、山本氏は「日本の医療再生のキーワードの1つは、“良い新薬が、どれだけ医療の現場に提供されるか”である。この役割を担っている製薬企業には、この観点から、ぜひ“良い薬”を創っていただきたい。また、我々薬剤師は、その大事な“子供”をしっかりと面倒をみて大事に使い、さらに新しい子供ができるようにお手伝いをしたい。創りっぱなしではなく、創った以上、自分の子供と思って、成人するまで、しっかりケアして欲しい」と、薬剤師の立場から創薬への要望を述べた。

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