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医療再生に解決型の提言を「IMS ジャパン ヘルスケア・シンポジウム 2009」開催

2009/12/16
取材:21世紀医療フォーラム Good Doctor NET編集部 原田英子 文責:日経BP社クロスメディア本部プロデューサー 阪田英也

さる10月20日、「IMS ジャパン ヘルスケア・シンポジウム 2009」が、ホテルオークラ東京で開催された。これは、2004年から昨年まで5回開催されてきた製薬企業を対象とする「IMS ジャパン クライアント・コンファレンス」が、製薬企業だけでなく医師、行政府、医薬品卸、薬剤師まで、幅広く医療業界全体をカバーするイベントへと進化し、装いも新たに第1回目の開催となった。
今回のテーマは「医療再生と医薬品産業の役割」。日本の医療発展のための課題と、これに向けての提言を、医療を支える有識者に討議してもらい、医療を支えるすべての方々の連携を支援したいという狙いである。
(取材:21世紀医療フォーラム Good Doctor NET編集部 原田英子 文責:日経BPクロスメディア本部プロデューサー 阪田英也)



生島ヒロシ氏に紹介されて登壇したIMSジャパン代表取締役社長・佐伯達之氏

司会進行役であり、ヘルスケア・アドバイザーでもある生島ヒロシ氏に紹介されて登壇したIMSジャパン代表取締役社長・佐伯達之氏は、「昨年は医療崩壊をテーマにパネルディスカッションを行いました。今年は、その危機をどう乗り越えるか、具体的にどのような解決策があるのか、特に製薬企業や医薬品卸を中心とした医薬品産業の立場から、医療再生に向けて何ができるかを中心にお話しいただければありがたい」と挨拶し、昨年に倍増する500名超の出席者に感謝の辞を述べた。


医療再生の鍵は、国民の理解と参加



厚生労働省医政局経済課長・木下賢志氏

プログラムのトップは、厚生労働省医政局経済課長・木下賢志氏による「これからの医療のあり方と医薬品産業への期待」と題する基調講演。冒頭で、喫緊の課題でもあった新型インフルエンザワクチンの流通が、メーカーから卸、医療機関に渡るまで2週間足らずという短期間で非常にスムーズに運んだチームプレーに触れ、「関係者が意識を高く持ち、責任分担をハッキリさせ、目標に向かってモチベーションを上げて事に当たったことが成功の要因」と分析。「そこに、自治体の診療現場でも、インセンティブや仕事に当たるモチベーションを高くすれば、医療を動かすことにつながるヒントを得た」と語った。

さらに、木下氏は、「民主党に政権が変わっても、医療従事者の確保や、質の高い医療サービスを提供するといった政策目的は変わらない。医師養成数を1.5倍にする。また、地域医療計画の抜本的見直し、支援などといった具体策に加えて、限られた資源をどう使うかを考える必要がある。そして、そのためには、国民の理解と参加が必要」と強調した。

国民の理解が得られれば、軽症患者が救命救急センターに行って治療を受けることは少なくなり、1次救急と2次救急の役割分担がとれ、医療従事者のモチベーションの向上にもつながっていく。

一方、医薬品の開発については、入院患者の希望が“完治するまで病院にいたい”から、“自宅から通院して治療する”志向にあることを示し、「投薬で治ること、入院期間を短くすることに、いかに応えられるかが鍵。また現在、特にがんと精神疾患の入院患者数が多く、この分野で革新的医薬品の開発が必要であり、これが在宅医療へのスムーズな移行、QOLの向上を可能にする」と述べた。

グローバル化する日本市場の役割としては、インフルエンザワクチンの大半を外国に求めざるを得ない状況にあったことを引き合いに、医療の安全保障面で「これでいいのか考えないといけない」と疑問を投げかける一方、「国内の産業保護ではなく、外国企業にもっと日本市場に参入してもらい、日本の臨床現場に貢献してもらうことで、さらなる市場活性化への取り組みの必要性を考えるべき。そうでなければ、国内における医薬品の上市の遅れを招き、臨床ニーズに応えられない。また、インフルエンザワクチンに見るように、医療の危機的状況に対応できす、専門性を持つ人材の養成もできない」と警鐘を鳴らした。

さらに、「製薬市場の改革シナリオのボトルネックとなっているのが、『日本発のブロックバスターの特許切れ』『ジェネリックとの競争』など。各製薬企業とも非常に厳しい環境にあるが、イノベーションの評価がうまくいかないと、改革の遅れや、日本市場に対するマイナス評価、内資系・外資系の日本離れ、新興国・アジア市場のウエイトの高まり、ドラッグ・ラグの拡大につながる。そういう意味では、イノベーションの評価が非常に大きな分岐点になる」と述べた。

医薬品卸のあり方については、「単に医薬品を運ぶ役割というのはごく一部で、やはり付加価値を高めるサービスの提供が求められる。例えば、調剤薬局の品揃えが絞られると、在庫管理がラクになる、そのために、トレーサビリティや災害時の地域医療支援などに注力すれば、物流の意味がより厚みのあるものになるだろう」と、行政の立場からアドバイスした。

講演の最後で、木下氏は、「これからの医療は、医療者、医薬品メーカー、卸など医療関係者が、“地域においてどのような関わりを創っていくのか”という共通の問題意識を持ちコンセンサスを形成していくことが重要。そして、それぞれの人や組織の機能、役割を、そのコンセンサスに準じて向上させていくことが、最終的に地域医療を確保することになる」と結んだ。

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