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独自に養成した12名のスペシャル医療クラークが活躍する京都医療センター

2009/12/08
21世紀医療フォーラム取材班シニアライター 田野井真緒

スペシャル医療クラーク育成の責任者でもある医療情報部の北岡有喜部長(産科医)

同じ日の午後、会議室にすでに診療科に配属された12名のスペシャル医療クラークが集まってカンファランスが開かれていた。

スペシャル医療クラークには看護師など医療業務の経験者がなるケースが多いのではないかと想像していたが、医療関係の仕事についていたのはごくわずか。ホテルや旅行代理店、ソフト開発に従事していた者など前職はさまざまだった。

「たまたま女性ばかりになりましたが、スペシャル医療クラークは性別、年齢不問です。優れた人材に性別も年齢も関係ありません。ただし、すでに何らかのスキルを身につける人が求められます」と、北岡部長。

電子カルテ操作など医療クラークとして必要な基本的な技術や医学知識を身につけただけなら、スペシャルと名乗る必要はない。藤井院長らが期待しているのは自ら能動的に診療場面に参加して医師をサポートすること。サポートする内容は診療科によって、あるいは医療クラーク自身の資質によって異なる。それぞれの資質を十分に発揮して診療科にとって不可欠の人材になることが求められているのだ。

カンファランスではスペシャル医療クラークとしての作業内容がそれぞれ報告される。報告する項目は外来カルテ代行件数、検体オーダー件数、放射線オーダー件数、処方オーダー件数、手術オーダー件数などの他、同意書作成件数や患者さんへの説明を何件行ったかなど数十項目に及ぶ。1日のオーダー件数が100件以上になる人もいれば、数十件の人もいる。

「診療科によって複雑な入力が加わる場合があるので件数が多ければいいというわけではないのです。内容が問われます」。(北岡部長)


12名の医療クラーク全員が集まったカンファランスは毎週木曜日に開かれるが、
取材のために水曜日に開いてもらった。

カンファランスと言っても医療クラーク同士が議論をかわすわけではない。各医療クラークから作業件数が報告され、北岡部長が簡単なアドバイスを添える。

医療クラークになった動機はさまざまだ。「病院を受診して医師の忙しそうな姿を見て手伝えることがあったら」という人もいれば、医療クラークという新たに創出された職種に働き甲斐を見出した人もいる。

一通り、報告が終わってから、医療クラークになった動機や仕事の感想などを聞いた。彼女たちがどれほど医師の負担を軽減しているかまではわからなかったが、報告を聞いているうちに、医療クラークが配属されるまで、医師の書類作成やパソコン入力件数の多さを改めて知った。同時に、医療業務をやったことのない彼女たちが、短期間の教育で難解な医学用語、病院独自の用語を理解し、医師に代わって作業を代行していることに驚かされた。育成コースで学ぶ以外にも、自分たちなりに相当な勉強をして診療科に配属されたに違いない。

「失敗もあります。入力ミスですが、すぐに対応して事無きを得ました」と言うのは外科に配属された第2期生。15年間、専業主婦だったが、その前はある企業でソフト開発に携わっていた。久しぶりの職場でとまどいも多かったに違いないが、もともと高いスキルの持ち主だったことを感じさせる。12名全員に一言ずつ話してもらった。そのすべてをここで紹介するゆとりはない。いずれ、当サイトで彼女たちのインタビュー集を放映したい。生の声を聞くことでスペシャル医療クラークの実際を感じられるはずだ。

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