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独自に養成した12名のスペシャル医療クラークが活躍する京都医療センター

2009/12/08
21世紀医療フォーラム取材班シニアライター 田野井真緒

実際の患者情報をもとに画面操作を習得


では、彼女たちはどのようにして日々の診療活動に欠かせない人材になったのか。スペシャル医療クラーク育成の責任者でもある医療情報部の北岡有喜部長(産科医)に案内されて、育成コース1ヶ月目の基礎研修を見学した。

参加していたのは看護師と医療事務職だった2名の女性。彼女たちが学んでいたのは電子カルテ入力操作。同センターの電子カルテシステムは北岡部長が設計した情報システムである。北岡部長は工学部で情報工学を学んだ異色の産科医。医師が設計したシステムなので「医師の思考過程が操作の流れに反映されている。つまり、医師が直感的に入力できるようになっている」

電子カルテ入力操作研修のための自己学習システムでは、実際の電子カルテ入力時と同様の患者情報が表示されているので理解が早い。この中から栄養のボタンをクリックすると、患者の病態に応じた様々な食事内容が表示される。消化器の術後患者の場合は、術後日数に応じて食事内容も変化する。三分粥は何日目から、半粥は・・・、普通食は・・・、と細くオーダーしていかなければならない。病床マップの画面では男性患者が入院中のベッドは青、女性患者はピンクで表示され、退院予約が入ると緑に変わり、退院するとベッド表示は白に変化する。これで何床空いているかが一目でわかる。その他にも入院予約の確定など操作は多岐にわたる。「(押し間違いがないよう)確定ボタンを押すときには必ず医師に確認をとるようにしてください」。北岡部長が2名の研修生に念を押す。

研修1ヶ月目の基礎研修では診療記録入力に必要な情報システム操作の習得が目的。一通り操作を習得したら30症例分のモデルカルテ入力をして評価を受ける。モデルカルテは個人情報を匿名化した実際の診療記録で、これらを迅速かつ正確に入力する研修を繰り返す。2名の研修生の配属先は心臓血管外科と腫瘍内科。あらかじめ配属先を決めておくことで、それぞれの診療科で必要なスキルを重点的に身につけることができる。


電子画面基本画面を操作する研修1カ月目の研修生

診療科の厳しい評価に耐えて誕生するスペシャル医療クラーク


2~3ヵ月目になると、実際の診療現場での研修が加わる。取材した日の午後、4名の研修生が北岡部長に報告に訪れていた。
「退院サマリーは書かせてもらっていますか」。
「先生からまだ書かなくよいと言われているので書いていません」。
「自分から書かせてください、と言うようにしましょう。未記入の退院サマリーがたくさんあるということはあなた達の評価にかかわります」。

北岡部長から叱咤が飛ぶ。優秀な素材だからこそ即戦力として診療現場に送り出してやりたい、との親心が感じられる。

2~3ヶ月目の診療科研修評価ポイントは、診療科の主観的評価と電子カルテ代行入力がどこまでできるか。診療科の評価としては当該診療科にとって必要不可欠な人材であるかどうかが問われる。合格基準は診療科の評価が優先されるが、スペシャル医療クラーク全体のレベル維持も考慮される。つまり、診療科で必要な人材だと認めても、スペシャル医療クラーク全体からみてレベルに達していないと判断されることもありうるのだ。

診療科に配属されても3ヶ月目に再評価され、1年ごとにも評価される。評価基準はかなり厳しい。スペシャル医療クラークと呼ばれる所以でもあるのだが、それだけ、藤井院長や北岡部長の期待が大きいともいえる。

3ヶ月間のカリキュラムを修了すると認定試験を受けて、合格者はスペシャル医療クラークとして採用される。

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