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“地域による地域のための医療再構築”をめざして、千葉県が「地域医療再生プログラム」を策定

2009/11/25
21世紀医療フォーラム Good Doctor NET編集部 シニアライター 須藤公明

千葉県はこのほど、地域医療再生プログラムをまとめた。「地域医療再生臨時特例交付金制度」の活用を目的として、策定を始めたもので、高齢化社会に対応するための医療機関の連携、救急患者のたらい回しをなくす救急医療体制の確立を中心とする地域医療の再生は、早急な実現が強く望まれているものだ。
今回まとめた計画を、千葉県では「全国の都道府県のモデルとなりうるもの」と位置付けている。これが実現できれば「地域による、地域のための医療再構築」の先駆的な事例となりうることは間違いないだろう。(21世紀医療フォーラム Good Doctor NET編集部 シニアライター 須藤公明)

千葉県はこのほど、「地域医療再生プログラム」をまとめ、千葉県医療審議会(会長:藤森宗徳千葉県医師会会長)で了承された。この計画は、自民党の麻生政権が打ち出し、補正予算で3100億円を用意した「地域医療再生臨時特例交付金制度」の活用を目的として、策定を始めたもの。高齢化社会に対応するための医療機関の連携、救急患者のたらい回しをなくす救急医療体制の確立を中心とする地域医療の再生は、政権のいかんにかかわらず、早急な実現が強く望まれているものだ。

今回まとめた計画を、千葉県では「全国の都道府県のモデルとなりうるもの」と位置付けている。即効性と包括性のあるプログラムで、当面の課題のみならず5年後、10年後を見据えた内容となった、今後の医療制度改革や診療報酬改定など全国的な制度改正にも参考になる、千葉県のみならず市町村、医師会、大学、県内の拠点的な病院のコンソーシアムによる、などの理由からだ。実際、これが実現できれば「地域による、地域のための医療再構築」の先駆的な事例となりうることは間違いないだろう。

「目指すべき地域医療の在り方」の第1にあげた「それぞれの医療機関の役割を明確に定め、患者の立場を踏まえて相互に連携・ネットワーク化を図ること」は、現在の個々の医療機関の判断による運営からは画期的な変更をもたらすものとなる。第2の「住民の生命・健康のセーフティーネットとしての救急医療の対応・搬送システムの確立」は、現在喫緊の課題を解決することであり、第3の「病院での医療と在宅での医療の両面の医療従事者の確保」は高齢化社会のニーズを見据えた施策となる。

問題は、いかにしてその理念や体制を具体化するかだ。千葉県は今回、「医療機関の役割分担・機能再編・ネットワーク化を図るプロジェクト」を香取海匝保健医療圏で、また「重層的な救急医療体制を構築するプロジェクト」を山武長生夷隅医療圏で実施する計画を打ち出した。前者は銚子市立病院の休止によって医療崩壊の危機が現実化している地域、後者は救命救急センターがないうえ救急患者の管外への搬送比率が40%以上にのぼる地域という事情が、モデル地域に選定した理由である。

香取海匝地区で、医療連携・ネットワーク化を実現


まず、「それぞれの医療機関の役割を明確に定め、患者の立場を踏まえて相互に連携・ネットワーク化を図ること」のモデル地域となる香取海匝保健医療圏には現在、7市町のうち6市町と県が病院を運営、地域医療を担っている。だが、ほぼ同規模、同様な機能の医療機関が並存しているという状態であり、明確な機能分担がなされていない。また、職員給与費比率や医療材料費比率が高水準のため経常損失が拡大、自治体の財政を圧迫している。また、財政事情などから活動休止となった銚子市立病院も、この地域に位置している。

その一方、銚子市立病院の休止の影響もあり、旭中央病院に患者が集中、1日平均の外来患者数は3507人に上って全国の自治体病院で1位、入院患者数も868人を数えて2位となり、超繁忙というよりパンク寸前の状態にある。これは病床数が956と、圏域の活動中の他の5病院の総数を上回っていること、圏域の救急患者の45%を受け入れていることなどがその理由だ。そこで千葉県は、この旭中央病院を圏域の拠点病院と位置づけ、地域医療支援センターや経営管理センターの機能も集約するという計画を策定した。

つまり、旭中央病院は一般外来を縮小して紹介外来に特化するとともに、難易度の高い手術、入院を受け持つ拠点病院とし、それ以外の病院は地域連携病院と位置づけ、多古中央病院はリハビリと人間ドック、匝瑳市民病院は2次救急と手術対応、県立佐原病院と小見川総合病院は一体化すると同時に2次救急と手術対応、東庄病院は旭中央病院の後方支援と連携研修機能というように役割を分担、連携する仕組みである。休止中の銚子市立病院は、外来の機能強化、さらに2次救急機能の担い手として再開を目指していく。

もとより、地域医療の充実には診療所の存在が不可欠であり、かかりつけの診療所は、患者の普段の医療管理や病態に応じた拠点病院への振り分け、さらに在宅医療を担う存在となる。また、医師不足に対処して、拠点病院や大学から地域連携病院に派遣される医師に対して手当てを設定、助成を行う。これらの策を講じることで、完結型・一体型の医療提供体制を確立する。その結果として、旭中央病院の負担を軽減すると同時に、他の自治体病院の稼働率を上げ、経常収支比率100%を目指すことにしている。

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