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“知られざるがん”小児がんへの正しい理解と、小児がんの子どもたちへの支援をめざして

2009/11/16
NPO法人 ゴールドリボン・ネットワーク 理事長 松井秀文 氏

――日米の小児がんの治癒率の差はどこから来るのでしょうか。

松井 欧米の場合は、子どものがんのための薬の開発について、基本的に国がかなり支援しています。特に米国では、大人の抗がん剤を作るときに子どもの抗がん剤の開発も義務付けている部分もあると聞きました。米国は人口も多いし、一方のヨーロッパはECという枠で捉えられるので、日本より母数が大きいことは優位でしょう。小児がんに対して、やはり制度や国の考え方の差も大きいのではないでしょうか。

韓国では、欧米で認可された抗がん剤の使用を認めていると聞いています。日本は、日本人に対する治験を行い、承認されなければ使えません。
日本における小児がんの抗がん剤の開発の遅れは、患児(小児の患者)の発生数が少ないことにあり、大人の抗がん剤が70種類以上あるのに対して、小児がんに使えるのは、わずか10種類程度(血液がんを除く)。最近少し増えてきているというものの、まだまだ薬は足りないのが現状です。

小児がんの患児の50%が合併症を抱える


――小児がんの発見を遅らせている最大の原因は何でしょう。

松井 そもそも、発がんのメカニズムからすれば、がんは本質的には大人の病気です。ですから、「子どももがんになるの?」といった認識の人が多いのも事実です。一般的には小児がんは知られていないと言っても過言ではありません。

確かに白血病は、「血液のがん」。脳腫瘍は「脳のがん」なのですが、病理的にいうと「がん」より「肉腫」が多いので“○○がん”という名称で呼ばれないことも、小児がんが知られない遠因になっているのかもしれません。大人に多い上皮性の固形がんが比較的表面の見えやすいところにできるのと違って、小児がんの場合は非上皮性の肉腫が多く、奥深くから始まることも早期発見を難しくしています。

もう1つ、小児がんの大きな特徴として、合併症があげられます。これも正確なデータがないのではっきりした数値は申し上げられないのですが、経験者の約50%が何らかの合併症で苦しんでいると言われています。この合併症には、「低身長」「甲状腺機能障害」などの内分泌障害ほか、「中枢神経障害」「二次がん」「肝障害」「骨の異常」「感覚器の異常」など、さまざまな症状があります。当然、合併症による生活上の問題も起きてきます。一応20歳までは、「小児慢性特定疾患」として、保険診療の自己負担分3割は公費でまかなわれますが、20歳を過ぎると、その支援もなくなります。

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