日経メディカルのロゴ画像

“知られざるがん”小児がんへの正しい理解と、小児がんの子どもたちへの支援をめざして

2009/11/16
NPO法人 ゴールドリボン・ネットワーク 理事長 松井秀文 氏

NPO法人 ゴールドリボン・ネットワーク 理事長 松井秀文 氏

年間で2500人位が新たに罹患し、全国で1万6000人近くの子どもたちが、いまも小児がんと闘っている。一般には、“知られざるがん”である小児がん。しかし、小児がんは、現在、子どもの病死原因の第1位である。 この小児がんに対して、「治療支援」「QOL向上」「理解促進」を柱とする活動を続けているのが、NPO法人ゴールドリボン・ネットワーク。その理事長は、保険会社アフラックの創業に立会い、同社社長を務めた経歴を持つ松井秀文氏である。松井氏に小児がんの現状、ゴールドリボン・ネットワーク、そして、日本における小児がんの子どもを対象とする“ケアの必要性”について聞いた。

(聞き手:日経BPクロスメディア本部プロデューサー 阪田英也 構成:21世紀医療フォーラム Good Doctor NET編集部 原田英子)

――NPO法人ゴールドリボン・ネットワークは、“小児がんの子どもたちが安心して生活できる社会の創造に寄与する”ことをその設立理念としています。はじめに、日本における小児がんの患児の実態について教えてください。

松井 がん対策の基礎となるデータを把握するための“がん登録”が義務付けられていないため、小児がん患児の実数など、はっきりとしたことは分かりません。しかし、一般的には、年間で2500人位が新たに罹患し、全国で16000人近くの子どもたちが、今も小児がんと闘っているといわれ、子どもの病死原因の第1位となっています。

小児がんは、15歳以下の子どもの白血病・脳腫瘍・骨肉腫・悪性リンパ腫など47種類のがんのことを言います。中でも多いのは、「白血病」「網膜芽腫」「脳腫瘍」悪性リンパ腫」「神経芽細胞腫」「ウィルムス腫瘍」で、いずれにしても希少がんであり、子ども1万人に対して1人くらいの発生率という数の少なさから、小児がんの専門医の少ないことも大きな問題となっています。ですから、体調がおかしくなって受診したお医者さんが、小児がんについての知識がないために対応が遅れ、1ヵ月後、最悪の場合1年を経てから、初めて専門医にかかるという事態が往々にして起こりうる病気です。

実際に身近で経験した例で言うと、ある小学生の子が、頭痛を訴えてお医者さんに行ったところ、疲れだろうとか風邪だろうと言われ、1年間くらいそういう状態が続いていた。夏休みに遊びに行った旅先で、また頭痛がひどくなり、開業医に行ったところ、そこのお医者さんがたまたま小児がんのことに詳しく、すぐに脳腫瘍を疑って、大きな病院を紹介してくれた。そしてそこで治療したが、すでに手遅れで、残念ながら亡くなってしまいました。

白色瞳孔(左眼)

欧米に比べて遅れている日本の小児がん対策


網膜芽腫の場合は、暗いところで猫の目みたいにキラッと光るので、親が気づくことも多いのですが、おかしいと気づかなかったり、思ってもそのままにしておくと重大な事態になってしまいます。ですから、小児がんについての知識を持ち、早期発見、早期治療をすることができれば、ただでさえ少ない子どもの貴重な命を救うことができるのです。

小児がんの治癒率は、アフラックががん保険を始めた昭和40年代には1ケタくらいだったと思いますが、今は、“転移がなければ”という条件付きながら、70%くらいは治るようになりました。米国の小児がんの治癒率は90%くらいといわれており、日本の治癒率が更に上がることを願っています。、また、再発したがんの治癒率はまだ20%以下だといわれています。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

この記事を読んでいる人におすすめ