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-地域医療再生はいま- 第1回 千葉県の「地域医療再生プログラム」を聞く “医療崩壊の危機で有名になった千葉県”を、「地域医療再生を実現したモデル県」に生まれ変わらせる

2009/10/15
インタビュー 千葉県健康福祉部部長 戸谷久子 氏

――現在、民主党の新政権によって「凍結」が宣言された地域医療再生基金ですが、千葉県は、9月30日にその概要を発表されました。

戸谷 思いつきやバラマキ的政策は行わないことをポイントとして、「千葉県地域医療再生計画」作成しました。5年というスパンで成果を出さなければいけないので、即効性のあるものを目指さなければなりません。さらに、千葉で成功したら、どこでも成功するというような、他県にも応用可能な包括的モデルであることや、5年、10年後の地域医療の課題にも対応できるプログラムであることを念頭に置きました。政権が変わって、仮に地域医療再生基金がなくなったとしても、実施する意義は十分あるプログラムになっていると自負しています。

地域医療再生基金の話が出る前から、「せっかくここまで築き上げてあげてきたものですから、お金があろうがあるまいがやりましょう」と、千葉大の病院長もおっしゃってくださいましたし、医師会長も同じ思いです。もちろん交付金はいただきたいのは山々ですが、みんな同志みたいな気持ちで非常にうまくやってこられたので、今後は、先ほど申し上げた在宅医療も含めて、千葉県の医療が、本当に“安定した、県民が安心して受けられる医療”へ持っていくということ、それは大切にしていきたいと思います。

現在の医療制度下では、患者さんはフリーアクセスですが、例えば旭中央病院に片寄って集中するのではなく、どこそこの医療機関はこういう診療科目に力があるというメッセージをお送りして、患者さんに適応していただきたい。それが大事だと思います。その方が、医師も疲弊しないし、医師としてのモチベーションも下げずに良い医療機能を果たすことができると思います。

「お医者さま」でも「患者さま」でもない「治療への協力関係」へ


――地域医療再生を実現していくためには、行政、医療者、住民の3者のコミュニケーションが大切ですが、行政のお立場から、どのような方策を取ろうとお考えでしょうか。

戸谷 本計画では、「良い医療」の実現のために、「お医者さま」でも「患者さま」でもない「治療への協力関係へ」を目標に、新たな医師・患者関係を構築したいと考えています。

今回は、地域医療再生基金を格好のチャンスと捉え、「10年、20年先を見据えて、一緒に地域医療再生をしていきましょう」と、行政、医療者、住民の3者へお願いしやすかったことは確かです。『将来にわたって安心して医療を受けられる千葉県』――これに関しては皆さん、同じ考え方です。

いずれにしても、千葉県の地域医療再生プログラムは、即効性のあるプログラムであり、「目指すべき地域医療」を前提とした特徴が網羅されていると思います。私ども行政、そして医師会、大学病院、中核病院、国保など地域医療病院といった医療関係者との連携を図り、それぞれの機能をコーディネートしていくプロセスで、人との融和、心を通わせることの大切さを痛感しました。それが一番大きかったと思っています。

――最後に、中央官庁、政権党、県民の方々にアピールしたい点を。

戸谷 この計画は決して机上の産物ではないということ。足らないところをどう補いあって確保し、これだけのコマしかないものをどう機能させるかというところから、すべては始まっています。そういう意味でも、まず、厚労省には医師の偏在をなくすような政策をお願いしたい。“医療崩壊の危機で全国的に有名になった千葉県”を、「地域医療再生を実現したモデル県としての千葉県」に生まれ変わらせます。

医師会、千葉大、その他の医療者、行政、県民の協働によって、必ず成功させる決意です。この計画が採択されれば、必ずや地域医療再生が実現できるものと確信しています。

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