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-地域医療再生はいま- 第1回 千葉県の「地域医療再生プログラム」を聞く “医療崩壊の危機で有名になった千葉県”を、「地域医療再生を実現したモデル県」に生まれ変わらせる

2009/10/15
インタビュー 千葉県健康福祉部部長 戸谷久子 氏

図3: 「千葉県における近年の医療政策の経緯(医療制度改革以降)」
千葉県地域医療再生プログラム(概要版)

「循環型地域医療連携システム」と「千葉県共用地域医療連携パス」


――医療政策の連続性、継続性という点からは、今回、「地域医療再生基金」が打ち出されたから何かしようということではなく、これまでにも様々な手を打ってきたわけですね。

戸谷 平成18年の医療制度改革をきっかけに、大学、医師会、県、関係の基幹病院の協働体制がスタートしました。そして、これまで抜本的に行うことができなかった医療機関の役割分担とネットワークの構築、包括的在宅医療(ケア)システムの構築を行うために、平成20年に保健医療計画を一部改定し、「循環型地域医療連携システム」を2次保健医療圏ごとに構築しました。

手術などの急性期、運動機能などの回復期、通院治療などを担当する、かかりつけ医などに、医療機関の役割を整理し、在宅医療を担う医療機関の明確化と機能を強化するなど、各機能を担う具体的医療機関名を挙げて、患者自身がどの医療機関を受診すればいいかを判断できるようにしました。

そして、この連携システムを、“絵に描いた餅”にしないために導入したのが「地域医療連携パス」です。これは、4疾病(がん、脳卒中、急性心筋梗塞、糖尿病)について、病気の発症から、治癒状況、他にどのような合併症があるかといった情報を、医師が変わっても共有できる例示モデルです。

これによって、複数の医療機関によるチーム医療の実現が可能になり、在院日数の短縮化や、診療レベルの向上、診療プロセスの標準化が図られます。

つまり、3年前にスタートしたプログラムの仕上げに、連携パスをオーダーして、「さあ、ネットワーク化」という時に、たまたま地域医療再生基金の話が出たものですから、この基金をさらに使わせていただいて、ジャンピングボードにできればという流れです。

――在宅医療までをシステムに組み込んだのには、どういう経緯があったのでしょう。

戸谷 千葉県は全国と比較して、高齢化の進み方が非常に激しいという特徴があります。それは、京葉工業地帯ができた時、その周辺に住まわれた世代が、60歳を超えてどんどん高齢化を迎えているということが1つ。それと、東葛地域にある大きな団地にお住まいになっている方たちの高齢化があげられます。団地の入居者は、あまり世代交代しないので、入居時の人口がそのまま高齢化し、独居老人も増えてきます。

入院、外来につぐ第3の医療として、在宅医療はこれから非常に重要になります。東京大学高齢社会総合研究機構の辻哲夫教授が、柏市をモデル地域に介護と連携した在宅医療の実証研究を行っていますが、それが非常に参考になりました。これは、辻先生に感謝すべき、他県にはない千葉県独自の特徴だと思います。

地域住民に向けて広く情報を発信。問題を共有化


――行政のお立場から、医療の問題点を抽出し、その解決を図るうえで、最も重要と考えられていることは何でしょうか。

戸谷 医療問題の抽出・解決は、県だけでは不可能なので、医師会・大学・すべての医療機関、市町村、医療者、患者、県民と協働して進めることが重要と考えています。特に、行政だけでは考えつかなかった部分を、地域住民の皆さんとの協働で取り組んでいくことは重要です。

地域住民と一緒に問題解決に向けて、広く情報を発信し、問題を共有化するために、様々な情報発信事業を展開しています。例えば、新聞・地域広報誌・ポスターなどで。あるいは、「千葉県地域医療再生」記者懇談会を組織し、定期的会合を開催する。ケーブルテレビや地方TV局、ラジオ局を使ったコンテンツ制作、ウエブサイトの開設などなど。行政、県民の双方向のコミュニケーションを図ることを考えています。

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