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-地域医療再生はいま- 第1回 千葉県の「地域医療再生プログラム」を聞く “医療崩壊の危機で有名になった千葉県”を、「地域医療再生を実現したモデル県」に生まれ変わらせる

2009/10/15
インタビュー 千葉県健康福祉部部長 戸谷久子 氏

図2:「(千葉県における地域医療再生の)具体的展開 香取・海匝圏域での機能再編」
千葉県地域医療再生プログラム(概要版)

医療機能の役割分担・補完によって、個々の病院の体力を強化


――千葉県としては、お話しいただいた医療問題に対して、現在に至るまで、どのような対策をとってこられたのでしょうか。

戸谷 香取・海匝医療圏の東総地域では、以前から旭中央病院を中心にした医療連携を構築するために、銚子市、旭市、匝瑳市、東庄町の首長で構成する協議会で検討を重ねていたのですが、具体的な役割分担を決めるまでには至っていませんでした。

今回、圏域の7自治体病院全部について、得意分野やどういう機能があるかといったヒアリングを重ねていき、例えば、多古中央病院は「リハビリのドクターを派遣しましょう」とか、匝瑳市民病院は「手術のドクターを送りましょう」とか、「連携体制を構築する」ことで初めて話がまとまりました。しかも、1つとして脱落した病院がなく、この圏域の全部の自治体病院が入っていることは誇りとしていいでしょう。

このように香取・海匝医療圏では、旭中央病院を核として、それぞれの医療機能が際立つような役割分担、補完によって、個々の病院の体力強化を図っていきます。今回は民間病院にまでは手が回りませんでしたが、いずれ、民間病院をも巻き込んだかたちでの機能再編ができればと考えています。

山武・長生・夷隅医療圏の救急医療体制については、山武地域において、東金市と九十九里町による「九十九里医療センター」(仮称)構想を進めています。全体で、120~130億円ほどかかると思いますが、地域医療再生基金を当てることは考えていません。県立東金病院の機能を移譲し、開院の準備を支援していこうと考えています。

――連携や役割分担による経営的な見通しはいかがですか。

戸谷 各病院の持っている特性や機能を、フルに発揮できるような部分を担っていただこうということ。逆の言い方をすると、最小の投資で最大の効果が発揮できるような医療の役割を担っていただこうというものであり、新しく投資をしていただいて、不採算のものをやっていただくという話ではありません。

役割分担を周知徹底することで、急性期の病院には軽症の方は来なくなりますし、医師にとっては、同じ1時間の診療行為でも、外来で風邪を診るのではなく、手術や高度な治療に集中できるなど、非常に効率的に働けるような環境になり、患者さんもそれに適応するようになっていくわけです。各々が持っている機能を前提として、その得意分野を発揮していただけるという意味において、ビジネスとしても整合性が取れると思っています。

――香取・海匝地域に限りませんが、医師不足の問題に関しては、医師養成機関である大学との関係がありますが。

戸谷 千葉県では、唯一の医師養成機関が千葉大学医学部です。ですから千葉大学のお力添えをいただかなければなりません。職員が何回も足を運んで、学長はじめ、病院長、学部長にご協力ご理解をいただいております。

香取・海匝地域の機能再編では、医師派遣などで千葉大との合意も得られました。また、旭中央病院は、規模が大きいのでやはり医師の数も多い。そこで、どのように補完しあうかについて、派遣も含めてご協力をいただけるということです。医師確保の推進については、研修医、大学院生などの各段階のニーズに合った支援制度の創設や、地域病院への医師派遣を目的とする寄附講座(救急・小児科・産婦人科・麻酔科)の設置を進めていきます。

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