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医療クラーク養成のフロント・ランナー、病院関係者が注目する京都医療センターの試み
「スペシャル医療クラーク」誕生

2009/05/21
医療コラムニスト 21世紀医療フォーラム取材班シニアライター 田野井真緒

腫瘍内科の安井久晃診療科長

がん集学的治療の要となる腫瘍内科医をサポートする

 松田さんは、子どもを院内の保育所に預けて午前8時30分から午後5時15分まで週4日働いている。井上さんの勤務は週5日で午前10時から午後4時まで。「勤務時間も考慮してもらえるので働きやすい」と口をそろえる。

 井上さんが外来に出ることはまだないが、退院サマリー、診断書、臨床試験データなどのデータベース作成に忙しい毎日を送っている。「患者さんと接する機会がないのが寂しいが、いずれは看護職に戻る」という。「スペシャル医療クラーク」として、看護師とは違った視点で日々の診療を見つめ直すことで看護師としても成長できるはずと考えている。

 藤井病院長も、「そうしたスキルアップは十分に考えられる。看護師として一回りも二回りも大きくなって欲しい」と期待する。

 井上さんが配置された腫瘍内科の安井久晃診療科長(37歳)にも話を聞いた。2年前に国立がんセンター中央病院から来た、たった1人の腫瘍内科医である。毎日の診療の他に管理業務もあるから井上さんはノドから手が出るほど欲しかった人材だった。腫瘍内科医は抗がん剤の専門家であるだけでなく、がんの集学的治療の中心になって治療計画を立て、診断・治療から末期医療まで関わる。安井診療科長が主治医になっている患者は約20名、それ以外にも他科の患者の化学療法を担当している。

「外来が忙しいと病棟にあがるヒマもありません。外来と病棟があり、管理業務が加わるのでペーパー業務はどうしても夜になる。診療が終わって疲れた体で書類を作成するのは気が重かったのですが、彼女が来てくれて助かっています」。

 井上さんが来てまだ日が浅いため、自分の時間が十分にもてるようになるにはもう少し時間がかかりそうだが、精神的にはずいぶん楽になったそうだ。

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