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なぜ医療クラークが必要なのか

2009/03/07
医療コラムニスト 21世紀医療フォーラム取材班シニアライター 田野井真緒

 そんな施設の1つに独立法人国立病院機構・京都医療センターがある。
 同センターのスペシャル医療クラーク育成コースでは、

  • センターの情報システムまたは同等のシステムに診療記録入力などを日常的にかつ連続3か月以上操作した経験を有する者
  • 医療機関などで医事会計システムなどの保険請求業務にかかる診療記録入力などを日常的にかつ連続12か月以上操作した経験を有する者
  • 看護師免許をもち、電子カルテなどの病院情報システムの操作ができる者
  • 4年生大学を卒業した者及び平成21年3月卒業見込みの者

 上記のいずれかの条件を満たした人たちに出願資格を与える。簡単にいえば、基本的に大学卒業、英語力がある秘書希望者と看護師の資格をもって家庭に入った人たちをトレーニングの対象にしている。
 スペシャル医療クラークとしているのは、高度な専門教育を受けた者にそれに見合う業務を期待するとともに、処遇を得られるという意味である。したがってスペシャル医療クラークは専門職としての職能が期待される。

 同センターの医療クラーク育成コースは3か月を最長とするカリキュラムの中で、診療記録作成に必要な電子カルテ操作や病名などの用語にかかる基礎知識を習得。さらに各診療科の入院病棟や外来診療現場で医師・看護師らの専門職から指導・評価を受け、到達基準を満たしてコース修了となる。表1に、スペシャル医療クラーク育成コースのアウトラインを示した。

医療クラーク導入で患者サービスや医師の仕事はどう変わる

 同センターのスペシャル医療クラーク育成コースの到達目標は、医師が本来業務に専念できるように主として電子カルテ入力などを支援できるスキルの獲得。しかし、最終的には各診療科が独自に必要な医療クラークを育成する。診療科によって、求められる医療クラークのあり方が異なるからだ。

 ひと口に医療クラークといっても、その内容は診療科によって異なる。がん病棟の医師をサポートする医療クラークと産婦人科医をサポートする医療クラークではおのずと患者対応も異なり、作成する書類も異なることが容易に想像できよう。

 医療クラークはさまざまな場面で患者と接する機会をもつ。したがって、単に医師の事務作業を代行するだけでなく、各診療科のニーズにふさわしいコミュニケーションスキルも求められるのである。
 2008年4月から医療クラークは診療報酬の対象になった。医療クラークを配置した病院は一定の診療報酬が上乗せされるようになったのである。

 それ以前から、いくつかの病院が自前で医療クラークを導入している。医療クラークが臨床医の仕事内容を変革し、患者サービスを向上させるという期待は大きい。
 だが、医療クラーク制度ははじまったばかり。医療クラークを導入した診療科と導入しない診療科で、外来患者の待ち時間は短縮されるのか、医師の事務作業は軽減されるのか、医師、患者の評価など検証すべき課題は多い。

 本サイトでは、「医師には専門で思う存分、腕をふるってもらいたい」と語る藤井信吾先生(独立法人国立病院機構・京都医療センター院長)の施設での試みを追跡する予定である。

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