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なぜ医療クラークが必要なのか

2009/03/07
医療コラムニスト 21世紀医療フォーラム取材班シニアライター 田野井真緒

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 厚生労働省は、今年から病院勤務医の負担を軽減する目的で医師の事務を補助する医療クラークを診療報酬の対象にした。
 勤務医が多忙な理由の1つに、診療録の記載や患者への説明書類の作成、画像検査の予約、入退院サマリーや診断書、保健書類の作成など文書作成量の増加があげられる。

そのため、昭和40年代に比べて1人当たりの患者にかかる必要時間数は5倍以上になっているという。医療クラークは医師や看護師にかわって事務作業を補助する専門職。医療クラークを導入することによって医師、看護師が専門職としての技量を十分に発揮できる環境が整う。また、患者にとっても待ち時間の短縮、医師と患者のパイプ役になるなどのメリットが期待されている。

働く環境が医療の質を高める

「よくやった 君のおかげと こきつかい」。サラリーマン川柳である。こんな言葉もある。「成功には報酬で報いよ」。   医師にとっての最大の報酬は患者さんからの感謝であろう。患者が笑顔で退院していく姿は医師・看護師らにとって至福の時である。臨床医として最大の報酬だろう。
 こきつかわれて成功しても報酬がなければ意欲は低下し疲弊するだけである。医師が専門性を十分に発揮できれば、医師は患者のためにもっと力を尽くすことができる。

 これまで、日本の医療の質は医師の個人的な努力によって支えられてきた。だが、個人的な努力には限界がある。医師や看護師らがその職能を十分に発揮するためには働く環境の整備が不可欠だ。職能を十二分に発揮できる職場なら、医師や看護師は「患者さんに喜んでもらうために」労力を惜しまない。もともと、そういうモチベーションを持っているのだ。

患者にもメリットが期待できる医療クラーク

 医師や看護師らの「患者さんのためなら」というモチベーションを維持し、職能を十分に発揮してもらうために導入されるのが医療クラークである。
 医療クラークは、従来からある医療秘書のような単なる事務職ではない。電子カルテや書類作成などの事務作業から医師を解放することを一義的な目的としているが、高度な専門教育を受けた医療クラークは医師と患者のパイプ役としての役割も期待される。すなわち、インフォームド・コンセントのための同意書や造影検査などの定型文の説明に際して患者の疑問や要望を医師に伝える役目も期待されるのである。
 患者心理として、医師には言えないことも看護師や病棟薬剤師には言えるという方が少なくない。そういう患者心理に配慮したとき、医療クラークの役割は大きい。

医療クラークはどのように養成されるのか

 医療クラークに国家資格は設けられていない。外来患者のカルテ整理、検査依頼、診断書の作成など一定の医学知識や事務処理能力があることが条件だが、勤務医の事務的負担を減らそうと考える医療機関は、独自の研修体制で個々の施設にふさわしい医療クラーク養成に着手している。

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