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患者にとって負担の大きい最新医療 1年で改正されたC型肝炎医療費助成制度

2009/07/29
科学ライター 荒川直樹

 しかし、残念ながらこの制度を利用する人の数は伸び悩んだ。厚生労働省は、全国で年間10万人、7年間で70万人のC型肝炎患者が、この制度を利用してインターフェロン治療を受けると考えていた。しかし、開始から5ヵ月後の9月までに制度を利用をしたのは全国で2万3千人と目標に大きく届かなかった。

 厚生労働省は、その原因をC型肝炎の検査を受ける人が少なく、感染に気づいていない人が多かったためと分析している。しかし、同時に取材で訪れた医療の現場では「この助成制度では、まだ患者の負担が大きく、インターフェロン治療を先延ばしにしている人も多い」という声も上がっていた。C型肝炎は、感染していても重い症状が出るまでに時間がかかるため、治療費が高い上、一定期間の入院が必要なこの治療を受けるのに二の足を踏んでいるというのだ。

 なかでも助成額を算定する収入の算定方式の問題が指摘された。治療を受ける人がいる世帯全体の収入を基準にしたため、年金暮らしの患者でも同居している子供にある程度の収入があると、患者負担はいちばん高い月額5万円になってしまう。「生活が苦しいなか、子供に月5万円の負担はかけさせられない」と治療をあきらめた人の数も決して少なくない。

 このことは、厚生労働省が今年2月の発表した資料でも裏付けられている。助成を受けた人の数を患者負担額ごとに調べると、月額1万円の人が48.35%と最も高く、月額3万円では33.67%、月額5万円の場合は17.98%となった。自分の将来の健康を守る治療にもかかわらず、月額5万円、48週間で約60万円というのは患者が治療を受ける上での大きなハードルだったといえる。

 こうした状況を鑑みて、今年の4月に厚生労働省は制度の改良に踏みきった。ひとつは、自己負担の上限額を決める所得の算定方法の変更だ。これまで「世帯全員の所得」を「世帯全員、ただし扶養関係のない同居人を除くことができる」に変えた。これによって高齢の患者では月額1万円で治療を受けられるケースが増えると考えられる。また、助成期間も最長48週間から72週間に延長された。医師の判断で治療期間を延ばした場合でも、自己負担額が増えずにすむ配慮だ。

 今回の制度改正によって、インターフェロンによるC型肝炎の根治治療を受ける人はどれぐらい増えるのか。その結果は、お金のかかる高度な医療に、国がどのようなサポートをすべきかを判断するための、貴重な情報になるだろう。

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