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なぜ、情報提供を対面に限定するのか

2009/08/20
医療ライター 須藤公明

改正薬事法が施行され、一般用医薬品の売り方が変わった。「安全性を確保するための情報提供強化」という改正の主旨に異論はないが、それによって不都合な事態、解せないことが起こっている。まずは、従来はインターネットや通信販売で購入できた風邪薬や胃腸薬が、原則、購入できなくなったことだ。それに関連し、軽度な不調は自分で手当てするセルフメディケーション重視の時代になったにもかかわらず、市民への啓蒙などにシステム的な思考が欠けているのではないか、という危惧もある。

すでにご存知だろうが、今回の改正点を確認しておけば、ひとつは医薬品の成分などをよく理解するための情報提供の問題で、「安全性上、特に注意を要するので、薬剤師が書面を用いて説明を行う」第一類、「薬剤師あるいは登録販売者が必要な情報提供に努力する」第二類、「情報提供は不要」な第三類と、リスクの程度によって3つに分類された。もうひとつは販売体制の問題で、薬剤師や販売登録者を配置し、情報提供体制を確立していれば、スーパーやコンビニなどでも医薬品の販売が可能になった。

 最初の問題、インターネットなどによる販売禁止の措置に対しては通販会社が訴訟を起こしたが、IT(情報技術)社会の今日、「インターネットでの情報提供はダメ」という考え方は時代錯誤もはなはだしいと言わざるを得ない。念のために言えば、要請されているのは「情報提供」であって「対面販売」ではない。それだけに「情報提供=対面販売と読み替えるような措置は、薬剤師団体の政治的な圧力によるもの」などという解説もなされている。衆議院選挙が目の前に迫っているだけに、妙に説得力を持つ見方ではある。

 その一方、改正薬事法をきっかけに、流通業界や製薬企業が医薬品の値下げや新商品開発を加速する動きを見せていることは、好ましいことと言える。医療費の抑制が喫緊の課題になっているからだ。すでにナショナルブランドの医薬品を従来よりも10%あるいは15%も値引きし、集客力強化につなげたスーパーがある。さらに、風邪薬や胃腸薬などでもプライベートブランド(PB)商品が登場、今後、価格破壊に拍車がかかりそうなのも注目点のひとつ。加工食品や日用雑貨と似たようなことが起きるわけだ。

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