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ジュネリック医薬品は悪者か。

2009/08/10
医療ライター 須藤公明

 医薬品の値段と販売についての記事が、新聞や雑誌をにぎわせている。ひとつはジュネリック医薬品、つまり特許切れになった後発品の使用をめぐるものだ。もうひとつは、一般用医薬品、つまり薬局などが取り扱うものの分類と販売方法をめぐるものだ。それぞれの背景には、医療費増大への対応、安全性確保への措置などという事情がある。そしていずれも、構造改革問題と微妙に絡み合っている。簡単には結論が出ない、難しい問題ではあるが、かといって今後の医療を考える上で、避けて通るわけにはいかない。

 まず、ジュネリック医薬品である。従来から、開発メーカーの特許が切れたのを幸い、それをビジネスチャンスととらえ、その製造・販売に乗り出す中堅・中小企業はたくさんあった。最近になって、それが注目される理由に、医療費が増大、健康保険制度の維持が困難になってきたことがある。医療費の負担を少しでも軽くするために、割安なジュネリック医薬品を積極的に利用しようというわけだ。これには厚生労働省も力を入れており、処方箋様式の変更という手を打ったりしている。

 ちなみに、ジュネリック医薬品の使われ方を数量ベースでみると、英国は55%、米国は53%、ドイツは46%、とされている。日本はとなれば、わずか17%で、これら各国には大きく水を空けられている。その要因には、日本人のブランド信仰、安全・安心志向などがありそうだが、最大の理由は、医薬品は医師が選び、患者は黙ってそれを受け取るものという習慣、というより制度があったことではないか。病院と薬局の分離がなされておらず、薬も病院で出してもらっていた時代の名残りともいえる。

 それが、いろいろな事情によって医薬分業が実現し、さらにジュネリック医薬品の利用促進をという時代に突入したわけだが、収益源を脅かされる形になる先発品メーカーからは「主成分は一緒だとしても、飲み薬でいえば錠剤か顆粒かをはじめ、そのため当然、効き方も異なる」という声が聞かれる。だが、後発品が副作用を引き起こすとなれば問題だが、そうでなければ、選択はユーザー、つまり医師や患者の判断に任せてもかまわないだろう。少しでも安いものを、というニーズは確実に存在するのだから。

 同時に、先発品のメーカーに考えて欲しいことがある。それは、特許切れになった医薬品の値下げは不可能なのか、ということだ。追随者は安く作れても、開発者は安く作れない、などという事態は理解しがたい。最近の例を挙げれば、トヨタ自動車の「プリウス」がある。新型を発売するにあたって、旧型を値下げしたことだ。パソコンなどの情報関連機器でもそうだが、いまやユーザーニーズを読み取っての高性能化と低価格化の併走は当たり前になっている。医薬品だけが例外というのは、ちょっと腑に落ちない。

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