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企業健保崩壊の受け皿は…。

2009/06/24
医療ライター 須藤公明

 日本の医療費について、総額は2008年度が35兆円、2015年度が46兆円、2025年度が65兆円というシンクタンクの推計がある。GDPの割合で9%から10%に、さらに12%へと増大していく格好だ。そして問題は、これを、誰が、どういう形で負担していくのか、にある。

というのは、年齢別の医療費の推移は、64歳以下は16兆円、17兆円、20兆円と増え方がなだらかなのに、65歳以上は17兆円(うち75歳以上が11兆円)、25兆円(同17兆円)、40兆円(同30兆円)と急増すると予測されるからだ。

 旧来、組合健保は現役世代への医療給付を中心としていた。だが、高齢者医療費に関する制度間財政調整が行われ、高齢者医療のための納付金や支援金を負担することになった。それが昨年度、財政を一挙に悪化させた要因である。

そして、2025年度の組合健保の支出予想は、保険の担い手への医療給付が4.2兆円なのに、前期高齢者納付金が1.6兆円、後期高齢者支援金が3.1兆円になるとみられる。つまり、医療給付は半分以下にすぎず、3分の1以上が後期高齢者のために使われる、という構図なのである。

 毎月きちんきちんと支払ったところで、それに見合うものが戻って来ることは期待できない――公的年金では、このような考え方が跋扈し、それが支払い停止や未加入者を増大させる要因になっている、という。医療保険、とりわけ組合健保は、現在の制度のままでは年金と同様の問題に直面することが目に見えている。

つまり、加入者への医療給付よりも、高齢者支援などの支払いの方が多くなる結果、受益と負担のアンバランスの問題が噴出、財政破綻をきたして解散に追い込まれるという道筋が予想されるからだ。

 企業が正社員を削減、派遣などで代替していることも、企業健保の危機を加速する要因ではある。若年世代が減少、企業内の高齢化を進行させるからだ。企業健保を解散したところの社員は協会けんぽに移行するが、それによって医療費問題が解決するわけではない。

高齢者医療の負担問題は、むしろ一層深刻化する。財政再建という国家的な大問題はあるものの、医療の国民皆保険を維持するには、税金を投入するほかはないのが実情だろう。その原資には消費税がふさわしいのかどうか、議論の余地はあるとしても…。

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