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「混合診療」の真の問題は何か

2009/06/03
医療コラムニスト 須藤公明

 だが、そこに問題がある。「最新の」という部分だ。設備にせよ薬品にせよ、最先端のものは、得てして保険の適用外になるからだ。さらに、日本は欧米諸国に比較して新薬採用の遅れが大きいという「ドラッグラグ」のような問題もある。

 このような保険適用外の部分の存在こそが混合医療の発生源であり、そこに診療報酬の問題や保険財政の問題が絡み合っていることが、解決を一層困難なものにしている。

 国民のための医療制度という観点からすれば、混合診療導入の可否が議論の焦点なのではない。本当の問題は、最善の医療を提供しやすくする仕組み、システムづくりにこそある。そのためには、保険の対象となっていない医療を保険の対象にし、すべての人々が合理的な料金で利用できるようにすればいい。健康保険制度はそのために存在するはずだし、そこに収支のカベがあるなら、保険料を見直せばいいではないか。

やるべきは、医療費の無駄使い根絶

 だが、保険料の引き上げとなると、懐に直結する話だけに、嫌な顔をする人が多いだろう。そこで、日本の医療費をみれば、GDPの8%程度である。米国は15%ほど、先進7カ国では12%ほどとなっている。ただ、米国は日本の2倍近い金額になっているものの、満足な医療を受けられない人も大勢いる。それは、なぜなのか。大きな要因は、日米の健康保険制度の違いである。

 もとより、日本の医療制度にも問題はある。「薬漬け」がそのひとつであり、医療費に占める薬剤費の比率は31%と、米国の3倍近い。医療機器も割高だと指摘されている。

 健康保険料の引き上げが不可避だとしても、まずはこのような部分にメスを入れ、保険制度の効率のよい運用を図ることが大切ではないか。ことはお金ではなく命の問題なのである。世界一の長寿国を実現した健康保険制度を堅持するための議論を広く求めたい。

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