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「混合診療」の真の問題は何か

2009/06/03
医療コラムニスト 須藤公明

 保健の科学、医療の技術がいかに進歩しても、人間が健やかに生きていくための悩みは尽きることがないらしい。最近の豚インフルエンザなどの騒動を見るにつけ、「一難去ってまた…」という思いを強くする。

 同時に、その治療法が確立されているのか心配になるし、確立されたとしても健康保険の対象なのかという疑問もわく。その不安は、国民健康保険の赤字や規制改革で俎上にのぼった「混合診療」問題で増幅される。

 健康保険が適用される「保険診療」と、適用されない「自由診療」を並行させる混合診療は、現在の医療保険制度では、原則、禁止とされている。

 それを解禁することによって「先端技術を採り入れ、医療の選択の幅を広げよう」というのが規制改革・民間開放推進会議の主張であり、これには日本医師会などが「下手に解禁すれば貧富による医療格差を生み出し、保険財政も悪化させかねない」と反論した。

 双方の主張には、それなりに理があるように思える。「混合医療を解禁することで、患者の費用負担が軽減され、また医療技術の進歩につながる」ことも予想されるし、「金持ちでなければ高度な医療を受けられないという格差が生まれるだけでなく、制度が悪用されて医療費を搾取するような不祥事を招く恐れがある」ことも予想されるからだ。

 同時に、いずれの言い分にも落とし穴が潜んでいるような気がする。

 そこで、この問題を、視点を変えて考えてみることにしよう。患者、つまり国民にとって、どういう医療体制、システムが望ましい姿か、ということだ。それこそがこの問題の根幹のはずでもある。

 そしてその結論は、適正な料金、応分の負担で充実した医療を享受できるシステムの構築にほかならないだろう。最新の技術、設備や薬品などを利用した、すみやかな医療の実現を、というわけである。

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