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地域医療の再生は可能か

2009/05/20
医療コラムニスト 須藤公明

地域医療体制の再構築が急務

 それでは、どういう解決策があるのか。それを考え始めたとき、重大なことを見落としていたことに気付いた。自治体病院を従来の形で保つことが重要なのではなく、地域医療の体制を再構築することが重要なのだと…。

 それこそが本当の問題であり、その解決を目指す動きも出ている。山形県では県立病院と市立病院が合併し、三重県では独立行政法人への移行を決定したところがある。いずれも医師不足の解消や経営効率化によって、地域医療を再構築するためだ。

 高齢化社会が加速する日本――。その時代の人々の大きな願いは、死ぬまで健やかに暮らすことだろう。そのために、地域医療体制づくりに打つべき手は、何なのだろう。

 市民の立場からいえば、病気を治療し、健康を増進するサービスを提供してくれる機関は、公営であっても民営であってもいい。自治体病院であることに、強いこだわりはない。むしろ、公民が連携し、知恵を出し合って、リーズナブルな料金で、医療と健康増進サービスの質を高めてくれるなら、大歓迎なのではないか。

 だから、財政赤字や医師不足の問題も、「治療より予防」の時代の地域医療の姿を視座に据え、考え直すのがいい。とはいえ、効率一辺倒の市場原理主義で解決しようとすれば、医療過誤などにつながり、元も子もなくしかねない危険がある。

 また、受益者負担を原則にするものの、地域によって大きな差がある形も望ましくはあるまい。そういう目配りをしながら、行政と医療機関と市民が情報を共有し、負担増加などで折り合いをつけることが、「安全・安心の社会づくり」への第一歩といえそうだ。

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