しかし、このウイルスに感染しても、発症しない限り診断することは困難です。したがって症状が確認されない状況下では、医療機関も対処の仕様がありません。
そこで政府は、地方自治体や医療機関さらには事業者等々と連携し合い、国民の協力を得ながら、国内外の情報収集と国民への迅速かつ的確な情報提供を行なう必要を強調しています。換言すれば、政府も「情報の活用」に本腰を入れようとしているのです。
具体的には、世界保健機関(WHO)や諸外国におけるインフルエンザへの対応状況に関する情報収集に努力したり、国内における実態調査を強化したりすることによって、各地の感染状況を迅速に把握するとともに、患者や患者との接触者が活動した地域等の範囲について国民に迅速に情報提供を行おうというものです。
この他にも感染拡大防止のために、積極的な疫学調査、手洗い、マスク着用、咳エチケ ットの徹底、うがいを呼びかけたり、事業者や学校に対し、時差通勤・時差通学、自転車通勤・通学の工夫を検討するように要請したりすること等々が、前述の『新型インフルエン対策基本的対処方針』に盛り込まれています。
さらに、ワクチンの早急な開発や製造も、世界保健機関(WHO)と共に着々とその取 り組みを始めています。
一方で、喉元を過ぎて熱さを忘れたり楽観視し過ぎたりした結果、こんなはずじゃなか ったと後悔する場合もあるかもしれません。ですが他方では、備えがあれば憂いが軽減されることも事実です。そのためにも、精度の高い情報を収集し整理して、科学的根拠に基づいて判断すると共にその内容を迅速に伝えてもらいたいものです。
次回は、IT化が招く医療崩壊!?ということについて考えてみたいと思います。