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新型インフルエンザ(A/H1N1)情報についてどれ程ご存知ですか?

2009/07/15
一般社団法人 統合医療福祉中村直行研究室 中村直行

ところで、テレビの報道番組の中で、コメンテーターによる「今回の新型インフルエンザは弱毒性なので、強毒性の鳥インフルエンザの対策である現行の『新型インフルエンザ対策行動計画』は行き過ぎである」とのコメントや、国会で「空港における機内での検疫は政府のパフォーマンスである」という現役の厚生労働省検疫官による辛口の証言もありました。

確かに、わが国では、オイルショックの時にはトイレットペーパーが店の商品棚から短期間で消え去ったり、お昼のテレビ番組で人気司会者や出演者がココアやバナナ等々の効能をコメントすると翌日には少なからぬ消費者がお店に買いに走ったりする国民性があることを否定はできません。

現在は、店舗によってはマスクが品切れになっていますし、抗インフルエンザウイルス薬「タミフル」も、インターネット利用による個人輸入増加を懸念する厚生労働省によって購買が牽制されています。

実際に、政府は、今般のウイルスは現時点では軽症の罹患者が多いという特徴を持ち、『新型インフルエンザ対策行動計画』が念頭に置いていた健康被害の程度とはかなり異なっているため、すぐに『基本的対処方針』を発表して、国民生活や経済への影響を最小限に抑えるように方針を軌道修正しました。

 すなわち、行動計画やガイドラインをそのまま適用するのではなく、この『基本的対処方針』により、地域の実情に応じた柔軟な対応を行っていくこととしているのです。詳しくは、平成21年5月22日に新型ウイルス対策本部が発表した『新型インフルエンザ対策基本的対処方針』をご参照ください。

政府の当初の新型インフルエンザ対策は、弱毒性ではあるけれど病原性の高いスペインかぜや強毒性の鳥インフルエンザに由来する新型インフルエンザも念頭に置いた危機管理の一環であったといえるかもしれませんが、偏在する情報を収集し整理して科学的根拠に基づいて判断すると共にその内容を正確に伝えることの難しさも垣間見せました。

賛否両論あるでしょうが、たとえ弱毒性であれ、未だ解明されていない未知のウイルスに対して、過剰防衛を避けたり国民の不安を煽らない範囲に限定したりしたとしても、徹底した危機管理は実行されるべきだと思われます。

このウイルスの感染の繰り返しによる変異がもたらす危険性や、糖尿病や喘息に罹患している患者の症状が重篤化した時のリスクを「強毒性ではないからそんなに心配しなくても大丈夫」と楽観視できる人は、その科学的根拠を示さない限り説得力がありません。

喉元過ぎれば熱さ忘れる?

止まない雨や通り過ぎない嵐がないように、この新型インフルエンザもやがて小康状態になり一旦は終息方向に向かうでしょう。しかし、また雨雲が発生してそれが集中豪雨となったり、台風の目が形成され大型化して来襲したりするのと同様に、いつまた大量の感染者を生み出さないとも限りません。

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