日経メディカルのロゴ画像

新型インフルエンザ(A/H1N1)情報についてどれ程ご存知ですか?

2009/07/15
一般社団法人 統合医療福祉中村直行研究室 中村直行

前回は、「情報の偏在性」をテーマとして皆さんとご一緒に考えてみました。また、患者の主張を聞かないのが医師の仕事なのではなく、偏在する情報に基づいて無責任な治療を行う医師は最初からほとんどいないということを実例を通して申し上げました。

そこで、今回は、過度の焦燥や動揺ばかりでなくその風評被害までもが懸念され、正確な医療情報が有効に活用されるべきもう一つの事例として、今般世界中で猛威を振るっている新型インフルエンザに関する情報について俯瞰してみることにしましょう。

  

いつのまにか豚から新型に替わった!?

今般、メキシコや米国等で確認された新型インフルエンザは、当初豚インフルエンザと言われていました。それがいつのまにか豚から新型に冠が替わると、一部のマスコミや評論家は恣意的なコメントを出しました。

「政府や関係監督官庁の責任問題に波及することを避けるために、政府が意図的に名称を変更した」とか、「農林水産族の国会議員が養豚業者や食肉業者を風評被害から保護するために厚生労働省に圧力をかけた」とか、聞いていて思わず苦笑してしまいました。

しかし、詳しい報道等でご存知の方も多かろうと思いますが、それは根も葉もないことです。当初、このインフルエンザの遺伝子が豚インフルエンザのものに酷似していたので確かにそのように呼称された時期もありました。

その後、さらに研究が進み、このインフルエンザが豚インフルエンザの他に鳥インフルエンザやヒトインフルエンザの遺伝子を持つことが確認されたので、新型インフルエンザと呼ばれるようになったのです。

では、この新型インフルエンザとは一体どのようなものなのでしょうか。厚生労働省は、「新たに人から人に伝染する能力を有することとなったウイルスを病原体とするインフルエンザであって、一般に国民が免疫を獲得していないことから、全国的かつ急速なまん延により国民の生命および健康に重大な影響を与えるおそれがあると認められるもの」と定義しています。

一方、豚インフルエンザもいまだにこの世に存在しています。米国疾病管理センターによると、散発的ではありますがヒトに感染したという報告もあるようで、これまでに何種類もの豚インフルエンザが確認されています。しかし、最近の症例のほとんどは豚から分離されたヒトインフルエンザ(H1N1)でありAソ連型として区別されているのです。

強毒性と弱毒性

新型インフルエンザの症状の特徴は、突然の高熱、咳、咽頭痛、倦怠感、鼻汁、頭痛等々ですので、非医療者には季節性インフルエンザと区別がつきにくいかもしれません。

新型インフルエンザに感染したと疑われても、実は季節性インフルエンザだったり、その逆だったりすることも有り得るのです。新型インフルエンザの方が下痢や嘔吐が多いと指摘されていますが、個人差もあるでしょうし下痢や嘔吐の回数だけでは特定しづらいと思われます。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

この記事を読んでいる人におすすめ