もし、患者やご家族が非医療者であれば、限られた短時間での専門用語の羅列は聞くだけで苦痛な場合もあるでしょう。また、どこから入手したか定かではない情報を患者やご家族がうのみにしてたたみ掛ける様に質問攻めすれば、へきえきする医師も出てくることでしょう。
個性、専門性、リテラシー、立場の違いなどいくつかのキーワードが連想しますが、ユビキタスのごとく偏在する情報に対して、要は、実際に治療を行う時の責任の所在が大きな問題なのです。
患者の自己責任という選択肢もあるかもしれません。しかし、だからといって医師としての責任がすべて免れるとは限らないのです。
偏在する情報に基づいて治療する医師はいない
前回のコラム「情報の活用」で、もし、あなたが当事者でありいろいろな方にご相談されるとしたならば、事前に整理されておかれた方がいいと思われる点を、以下のとおりにいくつかまとめてみました。再度、記しておきます。
- 情報源(新聞・書誌・テレビ・ラジオ・インターネット等)
- その情報が発信された時期(もし分かれば)
- その情報の責任の所在(個人・法人等)
- その情報が正しいとされる根拠(確認方法と結果等)
- その情報を活用したい理由(医療機関や医師の選択・治療法の選択等)
- その情報を活用したときに想定されるリスク(もしあれば)
医療情報もまた、他の情報と同様に偏在していると言っても過言ではないと思われます。
患者の主張を聞かないのが医師の仕事なのではなく、偏在する情報に基づいて無責任な治療を行う医師は最初からほとんどいないということを申し上げたいのです。
次回は、こんなはずじゃなかった! 結局は後悔先に立たずということについて考えてみたいと思います。