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情報の偏在性~患者の主張を聞かないのが医師の仕事?~

2009/05/23
一般社団法人 統合医療福祉中村直行研究室 中村直行

 相談者の言われるとおり、担当している医師が本当に前述のような言い方をしたのであれば、医療技術や医師としての資質以前の問題も垣間見えてきますが、医師と患者の間のコミュニケーションが成立していないことは疑う余地がありません。

 では、どうしてコミュニケーションが成立していないのでしょうか。

 患者には患者の言い分があると同様に、医師には医師の考え方があり、積み重ねられていく会話の中で、両者の間に埋め尽くせない溝ができたと思われますが、だからといってしょうがないでは済まされません。

 医師との間に溝ができたままで、互いの信頼関係を醸成し、安全で有効な治療を安心して受けることを期待できる患者やご家族がいるとも思われません。

 どちらがいいとか悪いとかという視点ではなく、あくまでも主観ですが、想定できる範囲で両者の立場に立ってそれぞれの考えをみることにしましょう。

 患者は、医師に対して、自分の不安や悩み、さらには疑問も理解してくれて、あらゆる限りの手を尽くしてくれ、安全で最良の医療を必要最小限提供することにより、安心して治療を受けさせてほしいと思っておられるかもしれません。

 これに対して医師も、患者の気持ちや視点もキチンと理解して差し上げて、あらゆる限りの手を尽くし、安全で最良の医療を必要最小限提供することにより、安心して治療を受けていただきたいと思っておられるかもしれません。

 ・・・であれば、両者間のコミュニケーションにおける支障は中々見えてきません。

 しかし、実はここに見落としがちな盲点が潜んでいるのです。それは、両者の中にある「・・・つもり」、「・・・はずだ」で代弁される、思い込みによる一方通行や我田引水の施療や受療です。

 その結果、「こんなはずじゃなかった」、「どうして解ってくれないの」などの状況が現れてくる場合もあろうかと思われます。

 医療において、最初から人間関係の悪化を望んで施療や受療を始める医師も患者もいないのは言うまでもありませんが、どういう訳か、次第に両者に溝ができるのにはそれなりの理由があるものです。

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