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医療と情報~そもそも医療情報とは一体何なのか

2009/03/26
統合医療福祉中村直行研究室 中村 直行 

医療情報の蓄積が、良い医療を生む

 さて、情報学とは、情報が社会や個人とどのような関わりを持っているのかということを研究する学問です。その論理から言えば、医療情報学とは医療に関連する情報が社会や個人とどのような関わりを持っているかということを研究する学問ということになります。

 医師と患者やご家族とのコミュニケーションにより治療に生かされる情報、電子化の有無に拘わらずカルテとしてデータ化され保存される情報、検査によっていろいろと数値化されたり画像化されたりする情報、治験における奏功結果としての情報等々、これらは広義で医療情報でありその領域は多岐に亘ります。

 正統的現代医療といわれる西洋医療に限らず、3000年の歴史を持つ東洋医療、3500年以上続いているアラビアのユナニ医学、5000年以上の伝統を誇るインド医学のアーユルベーダ等々さまざまな民族伝統医学においても、医療情報のやり取りや蓄積は治療に欠かせない存在なのです。

 医療の種別や国籍を問わず、怪我をしたり、疾病に罹患したりしたら、人は必要に応じて医療機関を訪れ、施療者とのコミュニケーションによる医療情報のやり取りが始まります。

 わが国では、糖尿病、脳卒中、心臓病、 高脂血症、高血圧、肥満等の生活習慣病の予防医療においても、関連する情報が数値化や画像化され国民に広く伝播されています。このように医療に関連する情報というのは、いろいろなケースやさまざまな局面で基礎になったり利用されたりします。

 したがって、受発信される医療情報の正確さや精度等は、医療において極めて大切な要素の一つといえますが、はたしてその正確さや精度はどうやって導き出されたり担保されたりしたらいいのでしょうか。

 多くの治療実績を持つ経験豊かな医療者が頼りになる場合もあるでしょうし、高精度の検査機器によって発見される疾病もあるでしょうし、Evidence Based Medicine(エビデンス・ベイスト・メディシン/科学的根拠に基づく医療)に代表されるように積み重ねられたメタデータに依拠する場合もあるでしょう。

 要は病気にならないように予防したり、疾病に罹患しても安全で安心できる医療が受けられたりするために、正しい医療情報が有効活用される必要があるのです。そのためには、医療者のみならず医療を受ける側も受発信される医療情報の有用性を見つめ直したいものです。

 次回は、IT技術の急進展と情報の信頼性について考えてみたいと思います。

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