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良いストレスと悪いストレス

2009/03/07
水木 さとみ

 ここで、ストレスに関する興味深い実験をご紹介しましょう。カゴに入れられたネズミ、輪の中をクルクルと可愛らしく走り回っている光景をよく目にします。このネズミは、自ら勝手に走っている分には、1日8キロメートル走り続けても特に異常は起こしません。

 けれども、そのネズミを自分で走らせるのではなく、こちらが動かした輪の中を強制的に走らせると、2キロメートルの時点で高血圧を起こします。これは、ストレスが原因で生じる反応です。この実験からも分かるように、自らの意思で走るネズミは8キロメートル走ることができても、ネズミの意思とは無関係にやらされる行動(しなくてはいけないといった行動)になると2キロメートルの時点でドロップアウトしてしまうのです。

 言い換えれば、自発的な行動は、やらされる行動の4倍もの力が発揮できるということを物語っています。

 このことは、私たちの気持ちと行動にも関係します。他者からの指示から動かされるだけがストレスとは限りません。自分に対しても強迫的な気持(~しなければならない)が強まって行動している状態は、輪の中を走らされているネズミと同じ状況を作りだします。

 自らが自らを強制的に走らせ続け、辛い状態へと導き、悪いストレスへと陥ってしまうのです。こうした状況を招かないためにも、疲れた時には、自分の心と向き合い、心の声を聴いてあげて下さい。

 “輪の中を走らされているネズミのように、自分が自分を強制的に走らせてはいないだろうか?”もし、そのような状態であると感じたら、自分の能力は発揮できていない状態であることに気づいて下さい。

 目標を達成するためには今のままのやりかたでは不可能でしょう。このような状況のなかで、優先順位として、今は何をしたら良いのか? 何をしてはいけないのか? ということを段階的かつ明確に整理してみてください。

 大切なことは、決して焦らないことです。焦らないことが結果的に良い状態を作り出します。焦りや不安は思い通りにならなくなってしまったり、見通しの立たなくなった状況下に生じる感情です。段階的な目標を立て、無理なく進んでいくことで、必ず見通しが立っていくものです。

 さらに、時には「自分を許す=開き直る」ことも重要です。開き直るということは諦めることではありません。辛い状況の中では「今はここまでで“良し”としよう!」と自分を許す気持ち、認めてあげる気持ち、開き直る気持ちをもつことです。輪の中を走らされるネズミにならないために、常に心と身の状態に気づき、その上で、気持ちを上手にコントロールしていくことが大切です。

 感じ方や気分も変わり、かえってスムーズに進んでいくことができます。ストレスを楽しむ気持ちが、きっとあなたの人生を豊かにする生活習慣を築き上げていくことでしょう。

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