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事業仕分けで“健康保険の適応外”の方向、となった漢方薬。反対意見も多いが、現状を知ると納得できる部分もある。

2010/01/18
21世紀医療フォーラム取材班 ライター 狩生聖子

では次のケースはどうだろう。

大手商社で管理職をしている40代の女性(独身)は、やはり友人だ。多忙で海外出張も多く、まともに睡眠時間もとれない。しかし、忙しければ忙しいほど充実感があるのでついつい無理をしてしまう。不況でも連日、自腹で飲みに行く。週末は、はしごで朝方、帰宅することも珍しくない。こんな彼女が唯一、体のために服用しているのが漢方薬。近所にたまたま漢方に詳しい医師がいたこともあり、そこで毎回、処方してもらっている。

「漢方薬を飲んでいれば倒れない」が彼女のいい分だ。一度、取材を兼ねて彼女とクリニックに同行したが、主治医は友人に対し、「きちんと休息をとってもらわないと、いくら漢方薬を出しても意味がないんだけどな……」とあきれ気味だった。

こんなケースには誰もが、「保険を使って漢方薬を処方してもらうのは、甘すぎるんじゃないの?」と思うのではないか。西洋薬は効くけれど、副作用が強くて「体には合わない」。また、「西洋薬をいくら飲んでも効かない」という人は一定数、いる。こうした人には漢方薬が必要だ。一方で、漢方薬は西洋医学では病名のはっきりしない症状を治すのが得意である。倦怠感、冷え、頭痛い、胃の不調などでお世話になっている人が多い。

こうした症状は検査をしても異常が見つからないものが多く、西洋医学では、「健康」の分類に入ってしまう。が、漢方では「病気」の範疇にはいる。病気の一歩手前というのが正確な表現かもしれない。専門用語では「未病(みびょう)」といい、この段階で治療をすることで本格的な病気を防げるのが漢方治療の魅力といわれる。実際、漢方薬は体に合うとやみつきになる。

しかし、こうした特徴を背景に漢方薬はどうしても適応範囲が広くなってしまう。患者側も漢方をビタミン剤やサプリメントのようにとらえ、利用する人が出てきてしまうということだ。
だからこそ、この問題については漢方薬の使われ方について、多様な面からみていく必要があるといえるのだ。

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