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便秘の患者に、安易に下剤を処方する医者

2009/08/05
21世紀医療フォーラム取材班 ライター 狩生聖子

女性の敵「便秘」。
自然の“お通じ”を取り戻すには

 最も多いのが下剤の乱用である。便秘になるとお腹が張って苦しくなる。なんとなく、肌の調子も悪い。そこで「出せばすむ」とばかりに下剤に手が伸びる。それからは、ちょっと便秘になるだけで安易に下剤に頼ってしまうようになる。

 しかし、下剤を続けることによる深刻な副作用がある。最もポピュラーなアントラキノン系下剤(生薬のアロエ、センナ、大黄が主成分のもの)を続けていると大腸の粘膜の神経が異常を起こし、腸の働きが悪化する。つまり、下剤によってかえって便秘が悪化する可能性があるということだ。

 この問題に詳しい松生クリニック(東京都立川市)の松生恒夫院長は、「このことを知らないため、下剤の服用量がどんどん増えてしまう。通常量の倍から数十倍を服用している人もいるし、服用歴が何年間にもおよぶという人も多いのです」という。

 実は友人も下剤を服用してかなりの年数がたつ。今や下剤がないと「排便できるかどうかが不安」というのだ。

 確かにそうだろう。それに最近は便秘が大腸がんのリスクになる可能性も示唆されている。便秘をほおっておいていいわけがない。

 便秘は生活習慣病の一種といわれる。でも、高血圧や糖尿病と違って生活指導に力を入れている施設はほとんどない。若い女性の便秘は摂食障害が原因であることも多いそうだし、若者の偏食をただし、生活習慣を変えることはいろんな病気の予防にもつながる。

 現在、便秘をしっかり治そうと思ったら便秘外来のある医療機関に行くしかない。そしてこうした外来はとても数が少ないのが現状だ。ぜひ、もっと増やしてほしい。医師の負担が大きすぎるのであれば、自費診療(自由診療)でもいいと思うほどだ。

 便秘の悩みは深刻だが、多くの女性は誰にもいえず、1人で悩んでいる。私の後輩には週に1度しか便が出ず、週末に何時間もトイレにこもっている女性がいる。ビニールの手袋をつかって便をかきだすのだという。

 また、別の女性は便秘になるとお腹が苦しくて食事ができないから、と痛みをこらえて下剤を連用している。こうした人たちは医療機関にいっても相手にされない、と「便秘にいい」といわれるサプリや健康食品を購入して、ますます悪循環に陥っているのが現状だ。

 こうした人たちを助ける手だてがもっとないものかと願うばかりである。

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