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安易に掲げるべきではない「標榜科」 

2009/08/07
21世紀医療フォーラム取材班 ライター 狩生聖

「標榜されている科だからきちんと診てくれるだろう」と期待して受診した患者。ところがその科は医師の専門外だったためにトラブルが……。

 6歳の男の子を持つ母親から次のような話を聞いた。男の子は肌がアトピー気味で、ときどき発疹ができる。

 ある日、発疹ができた肘の部分が赤くただれてきた。皮膚もむけているような感じだ。本人は痛がり、お風呂に入るときも患部をビニールで覆わなければならないほどである。

 そこで、母親は近くのクリニックを受診することにした。どこの病院がいいのかは引っ越してきたばかりなのでよくわからない。たまたま自転車で走っていた時にそのクリニックの看板を目にしたら、「内科、消化器内科」と並び、「皮膚科」の標榜があったのでそこを選んだ。

 ようやく呼ばれて入った診察室。「これで息子のつらさを解消してあげることができる」と安堵したのもつかの間、その医師は男の子の肘をちらりと診ただけで、「お母さん。たいしたことはありませんよ」とすぐに診療を終えようとした。

 母親は慌てて、「でも、すごく痛がっているんです」と必死で訴えたという。すると医師は困った顔で、「最近のお母さんはみんなそうなんだけどね。ちょっと心配し過ぎですよ」とたしなめられた。

 結局、具体的な診断名は最後まで告げられることはなく、「唾でもつけておけば治りますよ」と薬の処方もされなかった。納得のできない母親はその足でもう1軒、別の皮膚科に行った。そこでは、すぐさま、「症状が皮膚の感染症から起こっているのだろう」と診断が下された。

 アトピーがあるとかきむしってできる小さな傷に細菌やウイルスが感染して、症状が悪化しやすいことはよく知られている。診断は「ドンピシャ」だったようで、もらった薬を塗るとその日のうちに症状は落ち着いたという。後者の施設は皮膚科の専門クリニックだった。

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