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なぜしょっちゅう受診させるのか

2009/05/02
医療コラムニスト 21世紀医療フォーラム取材班記者  狩生聖子

 ご近所のDさんは、
「私は2カ月でやめたわ。週イチでなんてとても無理。もうあの耳鼻科には行かないわ」と不満を爆発させる。不況でご主人の給料が減額されたことから、医療費は抑えたいともいう。これからはまとめて薬を出してくれる病院を探すのだとか。

 Bさんにこの話をしたところ、
「やっぱりみんなそうだったんだ。あんなに頑張って行くことなかったな……」と逆に落ち込ませることになってしまった。

 保険医療機関及び保険医療養担当規則の改正にともなって、平成14年から発売1年以内の新薬などを除き処方日数に上限がなくなった。当然、副鼻腔炎の治療薬もこの対象だ。ではなぜ長期処方をしてくれないのだろうか? 医師に聞けば、おそらくこう答えることだろう。
「病状が変わったり、副作用の発見が遅くなったりすると困るからです」

 確かに漫然と長期処方をするのは問題だ。服薬コンプライアンス(医師の指示を守って正しく薬を服用すること)の面からも、受診回数が多いほうがいい、と考える医師もいる。ましてや副鼻腔炎は薬でしっかり炎症を抑えないと再発しやすいといわれる。「週に1回の受診」が決定的に悪いともいえないのだ。

 では何が問題なのか?それは通院の必要性について、医師の説明がまるでないことだろう。結果、患者は医師に対して疑問や不安を感じてしまう。実際、例の耳鼻科に対しての女性患者たちのいい分は、
「あの先生はお金をもうけたいから、あんなにしょっちゅう受診させるんでしょ」というもの(そういう面も確かにあるが)。

 さらには、「主婦だから暇だと思って『週イチで来い』っていってるのかもしれないわよ。だとしたら許せない」。いつの間にか「女性蔑視の医師」という烙印まで押されてしまっている。

 女性患者が集まれば、こんな話から医師の悪い評判が一気に広まる。地域で開業する医師にとってはいいことは何もないはずだ。通院の必要性について医師からきちんとした説明があれば患者は納得する。それを聞いて患者も、「通えない週はまとめて薬を出してほしい」と要望を伝えられるだろう。ぜひこれを望みたい。

 忙しくて説明する時間がないという医師はせめて患者にこういってあげてほしい。
「通院は大変ですが、がんばって治しましょうね」
「この一言があるから通い続けている」という患者を、私は複数、知っている。

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