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検査値の異常値と正常値の違い

2009/06/05
21世紀医療フォーラム取材班シニアライター 田野井真緒

「政治と野球の話はしない」のが、私の行きつけの飲み屋のルールだが、病気の話題はよくする。「コレステロールが高いらしい」
「オレもだよ」
「やあねえ、カッコ悪い」。口の悪い、これも常連の女性客。

 あるとき、シークワーサーを垂らした泡盛の水割りを飲んでいたら、血圧が低いという顔見知りが入ってきた。「上が79で下が50そこそこ」だと言う。

「でもねえ、お医者さんに言われたの。これがあなたの正常値です。たとえば、上(収縮期血圧)が120mmHg、下(拡張期血圧)が80mmHgになったら注意しなきゃダメだ、って」。医師が言った血圧値は高血圧の定義からすれば正常値である。

 人間ドックや検診で示される異常値、正常値に私たちは一喜一憂するが、検査結果は時系列でみることが大切だ。去年と比べて今年はどうか、5年前と現在を比較してどうなのかを見ると、健康にシフトした状態か、不健康にシフトした状態かが判断できる。

一般論で正常、異常を判断するのではなく個人の変動幅が重要。

 日本循環器病学会や日本高血圧学会は、それぞれの病気の診断基準をつくり正常範囲、異常範囲を設定して正常値からはずれる人を治療の対象にしているが、検診や人間ドックでは、単に正常か異常かだけでなく、時系列でみたときの個人の変動幅が重視されなければならない。

 たとえば、人間ドックを受診したAさんの測定結果からコレステロールの値だけを抜き出して10年分をみると、最初の5年間は150〜175mg/dlで推移していたが、後半の5年間は200mg/dlを超えていたとする。どちらも正常範囲だが、Aさん個人についていえば、前半5年間と後半の5年間では大きく変動したことになる。

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